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JR東海、渇水期含め解析方針 大井川上流域沢の流量予測モデルで リニア国交省会議

 リニア中央新幹線トンネル工事が南アルプスの自然環境に与える影響について議論する国土交通省の第9回専門家会議が16日、都内で開かれ、前回に引き続き、大井川上流域の沢の流量変化を予測する解析モデルについて議論した。JR東海が示した解析モデルを前提に議論を進めることを了承し、同社は今後、渇水期や小雨時も含めてトンネル掘削による沢の減水予測結果を示すと説明した。

リニア工事が大井川上流部の自然環境に与える影響について議論した第9回国土交通省専門家会議=16日午前、東京都
リニア工事が大井川上流部の自然環境に与える影響について議論した第9回国土交通省専門家会議=16日午前、東京都
国土交通省専門家会議の委員の主な意見
国土交通省専門家会議の委員の主な意見
リニア工事が大井川上流部の自然環境に与える影響について議論した第9回国土交通省専門家会議=16日午前、東京都
国土交通省専門家会議の委員の主な意見

 JRが2022年3月の県有識者会議の専門部会でトンネル掘削に伴う沢の減水予測を示した際、部会委員側が、減水予測が年間や月間の平均値で試算された点を問題視していた。JRは指摘を踏まえ、水生生物への影響を正確に分析、評価するために渇水期の基底流量を予測するとした。
 大同大特任教授の大東憲二委員(環境地盤工学)は「解析結果は単純化しているので、現象をすべて再現できるわけではない」と述べ、実測値と予測値がずれている沢では個別の確認が必要との認識を示した。県の宮崎和之南アルプス自然保護担当参事は会議後の取材で「解析結果をどう捉えるかが重要だ」と指摘した。
 今回了承されたJRの「上流域モデル」は静岡市の水収支解析モデルがベース。主要な断層の透水係数(水の通しやすさ)を10分の1小さくし、西俣、千石の両斜坑と工事用道路トンネルを実際の計画サイズと等しい大きさに変更した。
 静岡市の解析モデルは、JRの調査で県境付近に確認されている幅約700メートルの断層帯を幅250メートルと設定しているが、JRの担当者は会議後の取材で「静岡市モデルは水の通しやすさとの関係で細かく現地を見て250メートルと設定している」との認識を示し、「(幅の)条件を変えることは考えていない」と述べた。
 (政治部・尾原崇也、東京支社・中村綾子)

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