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【能登半島地震・消防重機】「次の災害備え、検証を」 民間団体は搬入して活用

 総務省消防庁は2011年の東日本大震災で救助活動が難航した教訓から重機を導入したが、能登半島地震では活用が一部にとどまった。道路損壊などの悪条件もあったが、経験を生かして現地に運び込み、活用した民間団体もあった。災害現場の重機運用に携わってきたボランティアからは、次の災害に備えた検証を求める声が上がる。

石川県珠洲市の土砂災害現場で、重機を使い捜索活動する消防隊員=7日
石川県珠洲市の土砂災害現場で、重機を使い捜索活動する消防隊員=7日
石川県珠洲市の被災地で活動する技術系ボランティア=1月
石川県珠洲市の被災地で活動する技術系ボランティア=1月
石川県珠洲市の土砂災害現場で、重機を使い捜索活動する消防隊員=7日
石川県珠洲市の被災地で活動する技術系ボランティア=1月

 ▽ピカピカ
 「緊急消防援助隊の重機はピカピカのまま帰って行きます」「この大災害で一度も使わずに、いったいどこで何をしたくて配備したのか?」。技術系ボランティアネットワーク「DRT―JAPAN」のフェイスブックに1月21日、怒りのこもった文章が投稿された。
 DRTは重機を扱う土木業者など専門技術を持ったボランティアの集団。今回の地震でも発生直後から能登半島の先端部にたどり着き、自衛隊や警察と連携して人命救助に重機で協力、道路の開通なども精力的に行った。
 各地の消防によると、重機を使わなかった理由には、要救助者を傷つけないよう手作業が必要な場面があったことや、都府県大隊単位で捜索場所が決められていたことなどがあったとされる。
 ただ、これに関しDRTの関係者は「(援助隊に)災害時、重機を扱える高度な技術が身に付いていない」「指揮する人間が重機の性能を理解していないのでは。実際に私たちは捜索に活用している」と疑問を呈した。
 ▽小回り
 また、道路損壊により大型の搬送車が通れなかったことを挙げた消防も多かった。現地に運びながら不使用だった和歌山県の田辺市消防本部の担当者は、地元の田辺市内にも搬送車が通れない場所があることを以前から認識していたとして「災害時に民間から小型搬送車を借りられるよう準備を進めているところだった」と話した。
 一方、ボランティアとして1月3日に重機と共に被災地入りした三重県志摩市の建設業山本俊太さん(45)は「地震で道路が崩れていると想定し、小回りの利くように、消防より一回り小さな搬送車で重機を運んだ」と振り返る。
 山本さんはこれまで17年の九州北部の豪雨など災害時に現地入りし、全国で重機講習も行ってきた。装備を十分に使えないことなどから、現地で思うように活動できずにじくじたる思いを抱える消防隊員の姿も見ており、「現場には住民を助けたい志を持った隊員がたくさんいる。訓練や運用を見直さなければ、次の災害でも同じことが起こる」と警鐘を鳴らした。

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