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【米大統領選】ヘイリー氏、想定外の抵抗 トランプ氏挙党態勢に不安

 米大統領選の共和党候補指名争いでトランプ前大統領が24日、5連勝して圧倒的な強さを示した。だが一騎打ちを続けるヘイリー元国連大使が想定外に食い下がりレース続行を表明。トランプ氏は11月の本選で再対決が濃厚な民主党のバイデン大統領に資金集めで先行される中、早期の挙党態勢構築に不安を抱える。

24日、米サウスカロライナ州コロンビアで集会を開いたトランプ前大統領(ロイター=共同)
24日、米サウスカロライナ州コロンビアで集会を開いたトランプ前大統領(ロイター=共同)
24日、米サウスカロライナ州チャールストンで演説するヘイリー元国連大使(ロイター=共同)
24日、米サウスカロライナ州チャールストンで演説するヘイリー元国連大使(ロイター=共同)
24日、米サウスカロライナ州チャールストンで支持者にあいさつするヘイリー元国連大使(右)(ゲッティ=共同)
24日、米サウスカロライナ州チャールストンで支持者にあいさつするヘイリー元国連大使(右)(ゲッティ=共同)
米大統領選までの流れ
米大統領選までの流れ
24日、米サウスカロライナ州コロンビアで集会を開いたトランプ前大統領(ロイター=共同)
24日、米サウスカロライナ州チャールストンで演説するヘイリー元国連大使(ロイター=共同)
24日、米サウスカロライナ州チャールストンで支持者にあいさつするヘイリー元国連大使(右)(ゲッティ=共同)
米大統領選までの流れ

 ▽選択肢
 「40%は小さくない数字だ。共和党内の多くの人が別の選択肢がほしいと考えている」。24日夜、ヘイリー氏は予備選が開かれたサウスカロライナ州のチャールストンで支持者を前に、4割近い票を獲得したと誇ってみせた。地元でトランプ氏に約20ポイント差をつけられた悲愴感はない。
 52歳のヘイリー氏が見据えるのは今後の政治生命、特に次回の2028年大統領選だ。「主張に何一つ真実がない」「悪党の肩を持っている」。以前は歯切れの悪かったトランプ氏批判も鋭さを増している。
 トランプ氏が共和党候補の座を勝ち取って大統領にも返り咲いたとしても、憲法上あと1期4年しか務められない。今回の指名争いで立ち向かう姿勢を国民に印象付け、トランプ氏を好ましく思わない有権者の受け皿になれば、将来の共和党リーダーとして白羽の矢が立つ―。ヘイリー氏の計算がにじむ。
 実際にヘイリー氏の選挙集会では、民主主義軽視の言動で分断を助長するトランプ氏に見切りを付けた党員も目立った。「冷静で、重要局面で国民を結束させられる」と会社員ダグラス・ブラントリーさん(54)はヘイリー氏を評価する。
 ▽不確定
 「これほど共和党が結束したのは見たことがない」。24日夜、州都コロンビアの集会でトランプ氏は勝利宣言して胸を張った。壇上には指名争いから撤退した黒人のスコット上院議員ら地元政治家がずらりと並んだ。
 アイオワ州での初戦からの5戦全勝は現職候補を除けば史上初の快挙。「事実上の党指名候補」(米メディア)の座は揺るがない。
 だが強気の言動とは裏腹に、ヘイリー氏の存在にトランプ氏の悩みは深まる。米メディアによると、1月に陣営が集めた資金は880万ドル(約13億円)で、1500万ドルを超えたバイデン氏、1150万ドルのヘイリー氏にも後れを取った。
 トランプ氏の陣営幹部は、このまま各州で勝利を積み重ねていけば、3月中旬までに党指名獲得を確実にできると自信を見せる。ただ起訴された議会襲撃事件などを巡る法廷闘争も今後本格化し、不確定要素は多い。
 ミシガン大のマイケル・トラゴッド名誉教授は「存在感を示し続けたいヘイリー氏にとって、引き際を見いだすのは当面難しい」と指摘した。トランプ氏が本選に集中できない状況が長期化するシナリオも考えられると分析した。(コロンビア共同=新冨哲男)

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