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【政倫審の論点】裏金使途、解明遠く 野党、脱税疑い追及

 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた衆院政治倫理審査会では公開の是非のほか、還流資金の使途が論点の一つとなる。自民の聞き取り調査は「主な使途」として15項目を列挙しただけで、実態解明には程遠かった。未使用者も調査対象の3割強に上り、野党は脱税の疑いがあると国会で連日追及。確定申告シーズンを迎え、税の不公平に敏感な国民世論に訴える。

自民調査の「還付金の主な使途」
自民調査の「還付金の主な使途」

 ▽言い値
 懇親費用、車両購入費、手土産代、弁当代―。自民が15日に公表した調査報告書に記された使途リストだ。調査対象の85人中53人が還流金を使用していたと認めたものの、具体的な金額や使用日時に触れられたのは、二階俊博元幹事長の2020年1月~22年4月の書籍代(約3470万円)に限られる。
 二階氏の事務所は書籍の内訳を別途公表。「ナンバー2の美学 二階俊博の本心」(5千冊)や「最長幹事長」(3千冊)など自身に関する書籍を中心に17種類、計2万7700冊に上った。立憲民主党幹部は「とても配りきれる量ではない」と疑惑の目を向ける。
 さらに自民報告書は「政治活動費以外に用いた」「違法な使途に使用した」と述べた者は一人もいないと明記した。私的流用を否定したものだが、立民の長妻昭政調会長は「言い値の話。実際は分からない」と指摘する。
 ▽「自由納税党」
 還流金を使用していなかったと答えたのは31人。「気持ち悪いので使わなかった」「秘書が使うと危ないと考えてそのまま保管していた」と理由はさまざまだ。野党は未使用分は「雑所得」と見なされるとして、課税対象だと主張。国会論戦のテーマになっている。
 22日の衆院予算委員会。鈴木俊一財務相は「国税当局は問題があると認める場合、適切な課税に努める」と一般論で対応したものの、野党の追及が続く中で「疑義を持たれた政治家が政治責任を果たすという観点から判断されるべきだ」と言及。納税するかどうかは「議員の自由判断」と受け取られた。
 この答弁が交流サイト(SNS)で話題となり「納税は国民の義務ではないのか」「税金返せのデモが起こるのでは」「自由民主党は自由納税党に改名すべきだ」と批判コメントが相次いだ。
 立民の泉健太代表は25日、衆院政倫審に向け警告した。「使途を聞かれたら当然、答えなければならない。『記憶にございません』では政治家の資質が問われる」

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