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【五輪と仮想スポーツ】仮想世界に手探りで接近 eスポーツに競技団体

 市場拡大が続くeスポーツに、既存のスポーツ界が手探りながらも接近しつつある。大会を開く競技団体が出てきている他、日本オリンピック委員会(JOC)は検討プロジェクトを設置。国際オリンピック委員会(IOC)は五輪での採用を見据えており、身体運動を伴う「バーチャル(仮想)スポーツ」を巡る動向が活発化しそうだ。

ローイングのバーチャル大会で、エルゴメーターのタイムを競う参加者=3日、埼玉県戸田市
ローイングのバーチャル大会で、エルゴメーターのタイムを競う参加者=3日、埼玉県戸田市
ローイングのバーチャル大会のリレー種目で奮闘する参加者=3日、埼玉県戸田市
ローイングのバーチャル大会のリレー種目で奮闘する参加者=3日、埼玉県戸田市
ランとバイクのマシンで争う「eデュアスロン大会」の参加者=11日、東京都港区
ランとバイクのマシンで争う「eデュアスロン大会」の参加者=11日、東京都港区
ローイングのバーチャル大会で、エルゴメーターのタイムを競う参加者=3日、埼玉県戸田市
ローイングのバーチャル大会のリレー種目で奮闘する参加者=3日、埼玉県戸田市
ランとバイクのマシンで争う「eデュアスロン大会」の参加者=11日、東京都港区

 ▽普及の契機に
 3日、埼玉県の戸田漕艇場の近隣にあるイベントホールで、ローイング(旧ボート競技)のバーチャル大会が開かれた。エルゴメーター(漕力測定器)をこぐ参加者は汗にまみれながら、運動量に応じて画面上を動くボートのタイムを競った。
 大会は日本ローイング協会が主催。遠隔地からのオンライン参加も含め、7~71歳の延べ約630人が出場した。初心者やトップ選手、パラ競技の日本代表、他競技の部活動に打ち込む高校生ら、幅広い層が競い合った。手軽に親しめることから競技普及の契機としての期待は大きく、日本代表経験のある高野勇太(NTT東日本)は「盛り上げる一つのきっかけになれば」と語る。
 トライアスロンも、ランとバイクのマシンで争う「eデュアスロン大会」を東京都の港区連合が開催した。自転車は、100年後のニューヨークをイメージしたコースを走るなど、仮想大会ならではの環境も。関口秀之理事長は「けがのリスクが低く、真冬でもできる」と魅力を語った。
 ▽慎重論も
 日本eスポーツ連合(JeSU)によれば、2022年の国内市場規模は前年比約3割増の約125億円で、25年には218億円になると見込む。無数に存在し、進化する「ゲーム」の中でも、リアルのスポーツ界が注目するのが、ローイングや自転車のような体を動かす類型だ。
 日本スポーツ振興センター(JSC)はローイングの国際競技連盟(IF)と医科学研究に関する連携協定を締結。3月にはIF会長を日本に招いてシンポジウムを開くなど、関わり方を模索する動きが進む。
 一方で「ゲーム」に対する忌避感も根強く、JOCはこれまで、JeSUの加盟申請を認めてこなかった。JOCで検討プロジェクトの座長代理を務める星香里常務理事は「まずは勉強。現状や課題を洗い出すところから始める」と慎重に進める考えを示した。

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