テーマ : 読み応えあり

【欧州委員長が続投意向】EU懐疑派との闘い課題 最有力、独仏と関係良好

 欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長が19日、2期目続投を目指す意向を表明した。ドイツやフランスなど主要加盟国と良好な関係を保ち、6月の欧州議会選で中道右派の最大グループ(会派)を欧州委員長候補として率いることが確実視される。次期委員長の最有力候補だが、勢いづく極右などEU懐疑派勢力との闘いが最大の課題となる。

ベルリンで報道陣を前に話すEUのフォンデアライエン欧州委員長=19日(ゲッティ=共同)
ベルリンで報道陣を前に話すEUのフォンデアライエン欧州委員長=19日(ゲッティ=共同)
フォンデアライエン氏の横顔
フォンデアライエン氏の横顔
ベルリンで報道陣を前に話すEUのフォンデアライエン欧州委員長=19日(ゲッティ=共同)
フォンデアライエン氏の横顔

 ▽内外の脅威
 「欧州を分裂させようとする内外の動きから守る。そのためには中道勢力が強くなければならない」。ドイツの首都ベルリンで記者会見したフォンデアライエン氏は、EUの統合深化の阻止を狙う懐疑派や、エネルギー問題で加盟国の結束に揺さぶりをかけるロシアを念頭に、民主主義と欧州の価値観を守り抜く決意を表明した。
 欧州議会選では第1党の中道右派、欧州人民党(EPP)を選挙の顔として勝利に導き、中道左派などと多数派を形成したい考え。だが行方を占う加盟国の国政選挙では極右政党が伸長しており、厳しい選挙戦となりそうだ。
 昨年11月のオランダ下院総選挙では中道右派の最大与党が大敗を喫し、反移民を掲げる極右政党が第1党に躍進して欧州に衝撃が走った。同党はEU離脱の是非を問う国民投票やウクライナへの武器供与停止を主張。連立協議が難航し、オランダ政治の停滞を招いている。
 ▽かすむグリーン
 フォンデアライエン氏は欧州委員長としての職務に集中するため自身の去就を明らかにしてこなかったが、ひそかに選挙モードに突入。低炭素社会に移行するための「欧州グリーンディール政策」を看板に掲げてきたが、支持を広げるため「トーンダウンしている」(欧州大のティエリー・ショパン客員教授)との指摘がある。
 環境規制への農家の抗議活動が激化した今年1月、有識者会議を立ち上げ対話による解決を訴えた。また農地の一部を生物多様性や土壌保護のために休耕地とする義務を条件付きで1年間免除することも提案した。
 EUへの批判が懐疑派台頭につながる事態を懸念するあまり、環境規制を緩和する妥協策を打ち出したとの見方もある。
 専制主義的な行動を強める中国との距離感も課題。日本と交渉する方針を今月19日に決めた「安全保障・防衛パートナーシップ」締結などインド太平洋地域での安保協力に引き続き取り組む見通しだ。(ミュンヘン共同=桜山崇)

いい茶0

読み応えありの記事一覧

他の追っかけを読む
地域再生大賞