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チーム担任制が児童に好評 京都市立小、開放的な関係 4組を4人で受け持ち

 2学年4クラスを4人の教員で受け持つ「チーム担任制」を京都市立岩倉北小が導入している。複数の教員が児童に接し、多様な関わりを生むのが狙いだ。三浦清孝校長(57)は「固定担任制では閉鎖的になりがちな児童と教員の関係も、今は開放的。学校が過ごしやすい場所と思う子どもも増えた」と話す。児童や保護者にも好評だ。

1、2年生チーム担任の教員と話をする京都市立岩倉北小の三浦清孝校長=2023年4月
1、2年生チーム担任の教員と話をする京都市立岩倉北小の三浦清孝校長=2023年4月
体育館で運動会の練習をする京都市立岩倉北小の1、2年生=2023年9月
体育館で運動会の練習をする京都市立岩倉北小の1、2年生=2023年9月
1、2年生チーム担任の教員と話をする京都市立岩倉北小の三浦清孝校長=2023年4月
体育館で運動会の練習をする京都市立岩倉北小の1、2年生=2023年9月

 昨年9月、京都市左京区にある同小の体育館での運動会練習。1、2年生約110人が安村萌絵教諭(24)の動きに合わせて踊っていた。全体を見渡すのは1、2年教員チーム最年長の細井裕介教諭(34)。カーテンに隠れ練習の輪に入らない児童もいるが、教員らは無理強いせず声をかけるタイミングを見計らっていた。児童それぞれの特性を把握し、対応の仕方を共有しているという。
 チーム担任制を始めたのは2022年4月。ベテラン教員が異動して20~30代ばかりとなったことを機に、三浦校長が2学年4人でチームをつくることを決めた。
 メリットは、固定担任制では一方向だった教員と児童、保護者との関係に幅が出て、児童にとっては理解者が増えること。教員も互いを補い合うことができ、懸案も1人で抱え込まずに済む。
 教科担当は状況に合わせてチームで決める。例えば1年生の場合、2学期は安村教諭が国語を、細井教諭が算数を、図工と音楽は別の2人の教諭が受け持った。体育や学級活動などはチーム合同で行うことも多く、朝と帰りの会は学期ごとに担当を入れ替えた。通知表の評価もチームで会議を開いて判断している。
 今年1月実施のアンケートでは、児童の85%以上がこの制度を肯定的に捉えていた。4年生の女子児童は取材に「自分のことを知ってくれる先生が増えて学校が楽しい」と笑顔で答えた。5年生の息子がいる伊東由加里さん(46)は「保護者としても話をできる先生がたくさんいるのはありがたい」と話す。
 細井教諭は、いまだに“自分のクラス”という概念を払拭しきれないとしつつも「教員同士で話す機会も増え、足並みがそろっている。どの子どもたちにも声をかけやすくなった」と前向きに受け止めている。安村教諭は「若手からすると、チーム制は相談しやすく学びも多い」と話した。
 文部科学省によると、同様の取り組みは各地でも広がりつつある。三浦校長は「支え合うことで教員の心理的負担が軽減される。時短勤務の教員も持つ力を発揮できるようになった。休暇も取得しやすくなった」と説明し、24年度以降も継続すると語った。

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