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【政治とカネ巡り自民】裏金真相、やぶの中 自前調査「限界」露呈

 自民党が派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡る内部調査の結果を明らかにした。野党が追及した安倍派の裏金づくりの時期や動機は「判然としない」と結論付け。使途についても領収書を明示していないケースがあり、不明朗さは否めない。調査の客観性を確保するため外部弁護士を介在させたものの、真相は依然やぶの中で、自前調査の限界を露呈した。

自民党が公表した派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡る内部調査結果の写し
自民党が公表した派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡る内部調査結果の写し
自民党が公表した派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡る内部調査結果の写し
自民党が公表した派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡る内部調査結果の写し
自民党が公表した派閥政治資金パーティー裏金事件を巡る内部調査結果に関し、取材に応じる岸田首相=15日午後、首相官邸
自民党が公表した派閥政治資金パーティー裏金事件を巡る内部調査結果に関し、取材に応じる岸田首相=15日午後、首相官邸
自民党が公表した派閥政治資金パーティー裏金事件を巡る内部調査結果に関し、取材に応じる岸田首相=15日午後、首相官邸
自民党が公表した派閥政治資金パーティー裏金事件を巡る内部調査結果に関し、取材に応じる岸田首相=15日午後、首相官邸
聞き取り調査に関する報告書の問題点
聞き取り調査に関する報告書の問題点
自民党が公表した派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡る内部調査結果の写し
自民党が公表した派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡る内部調査結果の写し
自民党が公表した派閥政治資金パーティー裏金事件を巡る内部調査結果に関し、取材に応じる岸田首相=15日午後、首相官邸
自民党が公表した派閥政治資金パーティー裏金事件を巡る内部調査結果に関し、取材に応じる岸田首相=15日午後、首相官邸
聞き取り調査に関する報告書の問題点

 ▽残った闇
 「還付金を収支報告書に記載しない取り扱いの始期は不明だった」
 15日、党本部に張り出された20ページの調査報告書。聞き取り対象となった議員名や裏金化のパターン図が盛り込まれた。だが安倍派はなぜ裏金づくりに走ったのか―。肝心の答えは見当たらない。
 報告書では「おそらく30年くらい前からの慣習がそのまま残ってしまった」「二十数年前の当選後に先輩から聞いた記憶がある」など曖昧な証言ばかり。結局、「遅くとも十数年前から行われていた可能性が高い」との記述にとどまった。
 30年前からとすれば、歴代会長は順に三塚博元幹事長、森喜朗元首相、小泉純一郎元首相と続く。真相に迫るなら、存命中の森、小泉両氏の聴取は不可欠。でも聞き取りリストにはなく、「闇」は残る。自民内からも「調査に本気度は感じない」(若手)と冷ややかな声が漏れる。
 ▽幕引き
 裏金の使途も大ざっぱだ。還流された金を使用したとする安倍、二階両派計53人の回答の内訳を見ると、会合費、懇親費用、書籍代、手土産代、翌年以降の派閥のパーティー券購入費用など15項目にまとめられている。しかし報告書は「支出の全部または一部について領収書」があるとし、使途を本当に証明できるのか疑問が残る。
 特異なのが、還流された金を使用しなかったと回答した31人のうち13人が「不明朗な金銭だった」と認識していた点だ。「気持ち悪いと思った」「裏金みたいなものではないか」と違法性に気付いていた議員もいる。安倍派会長を務めた細田博之前衆院議長に返金を申し出たとの証言もある。
 それなのに報告書は「『違法な使途に使用した』と述べた者は一人もいなかった」と記した。安倍派をはじめとする裏金の闇にはこれ以上切り込まずに幕引きし、政治資金規正法改正など次のステージに移ろう―。そうした政権の思惑が透けて見える。
 ▽見えぬ覚悟
 「トップが腹を据えるべきだ」「派閥の上に立つ人間が責任を取らないといけない」。報告書は、不正を放置した安倍派幹部への恨み節のオンパレードとなっている。
 とりわけ2022年当時、会長だった安倍晋三元首相がパーティー収入の還流をやめると決めたにもかかわらず、復活させた幹部の責任を問う声が多かった。
 とはいえ、この検証も宙に浮いている。会長代理だった下村博文氏は、今年1月31日の記者会見で、当時の会長代理だった塩谷立氏や事務総長の西村康稔氏、参院側を率いる世耕弘成氏が22年8月に集まり、還流の扱いを協議したと明かした。深掘りすれば実態解明に近づくはずだが、報告書では一切触れていない。
 「客観性、中立性に最大限配慮した報告書だ」。15日夜、報告書の感想を問われた岸田文雄首相は評価した。だが立憲民主党の泉健太代表は、政治改革に向けた自民の覚悟が見えないとの認識を示し、一蹴した。「お手盛りの調査だ。首相のやる気が問われている」

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