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【裏金国会】首相火だるま、守りの答弁 立民猛攻「やる気ゼロ」

 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡り、岸田文雄首相が衆院予算委員会で火だるま状態に陥った。衆院政治倫理審査会の開催調整を党幹部に指示しながら、国会では言質を与えない首相。裏金は脱税の疑いがあるとの立憲民主党の追及にも逃げを打ち、守りの答弁に徹する。政治不信払拭へ「火の玉になる」と宣言した気迫が薄れたような姿勢に、立民は怒り「やる気ゼロだ」と激しく攻め立てた。

衆院予算委で立憲民主党の山井和則氏(左手前から3人目)の質問に答える岸田首相=14日
衆院予算委で立憲民主党の山井和則氏(左手前から3人目)の質問に答える岸田首相=14日
立憲民主党の追及と首相答弁
立憲民主党の追及と首相答弁
衆院予算委で立憲民主党の山井和則氏(左手前から3人目)の質問に答える岸田首相=14日
立憲民主党の追及と首相答弁

 ▽責任逃れ
 「安倍派幹部や二階俊博元幹事長に政倫審出席を促すべきだ」
 14日、衆院第1委員室。政治とカネの集中審議で、立民の山井和則氏は何度もせっついた。しかし首相は「説明責任を尽くすよう促している。本人の意向をはじめ、国会で判断いただくものだ」と正面から答えようとしなかった。
 塩谷立座長ら安倍派幹部は裏金の経緯や使途を明確にせず「責任逃れ」と非難される。官邸筋は「首相は政倫審に前向きだが、安倍派幹部の足並みがそろわない。幹事長経験者の二階氏の招致も厳しい」と明かす。
 とはいえ政倫審は、疑惑議員の申し出がない場合でも、委員の3分の1以上の申し立てと過半数の賛成で開くことができる。衆院では構成委員25人のうち自民は15人。自民が開催の可否を握る。
 「政倫審に出席しない議員に『次の選挙で公認しない』と厳しい態度で迫れば、従うはずだ」。立民の大西健介氏はあおったものの、首相は答弁ラインを崩さない。だが周囲には「野党の要求はそのままのめないが、国会審議を前に進める材料に用いる」と打ち明ける。
 ▽脱税疑惑
 「多くの国民は裏金について『脱税ではないか』と疑っている」
 立民の藤岡隆雄氏は、16日から始まる確定申告で世論の納税意識が高まるのを好機と捉え「脱税疑惑」を持ち出した。党として7日の予算委に続き、「裏金国会」と位置付ける今国会に「脱税国会」のイメージを重ね合わせ、自民の金権体質を浮き彫りにする戦略だ。
 安倍派では、パーティー券販売ノルマ超過分の還流金を議員事務所で保管していたと説明するケースが相次ぐ。領収書もなく、個人で蓄財していたならば課税対象になるというわけだ。
 首相は「個人が資金を受領したケースは確認されていない」「問題があれば国税庁が税務調査を行う」とかわした。
 ただ自民では1992年、5億円の闇献金事件を巡り、金丸信前副総裁(当時)が政治資金規正法違反の罪で罰金20万円の略式命令を受けた後、脱税の疑いにより翌年逮捕された。検察の捜査を後押ししたのは世論の不満だ。藤岡氏は「当時と似ている。裏金事件の実態解明はこれからだ」とただした。
 予算委では、自民の甘利明前幹事長がわずか35日の在任中に約3億8千万円もの政策活動費を受領したとも指摘された。計算では1時間当たり約45万円、本当に使い切ったのか―。そんな疑問に首相は根拠を示さず一蹴した。「適正に処理されていると認識している」

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