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【株価一時3万8千円超】新NISAで資金流入 取引増加、高値警戒も

 日経平均株価が一時3万8000円を突破した。1月に少額投資非課税制度(NISA)が刷新されたのをきっかけに個人投資家の取引が増し、資金が流入。海外勢の日本株買いも続いた。平均株価の年明けからの上昇率は13%を超え、高値への警戒が強まっている。

「213(ニーサ)」の日として開かれたイベントに参加する大手証券5社の経営トップら=13日午後、東京・日本橋兜町
「213(ニーサ)」の日として開かれたイベントに参加する大手証券5社の経営トップら=13日午後、東京・日本橋兜町

 ▽2兆円
 13日を「213(ニーサ)」の日とし、大手証券5社の経営トップが東京・日本橋兜町に勢ぞろいしてイベントを開いた。野村ホールディングスの奥田健太郎グループ最高経営責任者(CEO)が「資産運用立国が具現化する年だ」と意気込むと、ライバルの大和証券グループ本社の中田誠司社長も「(新NISAが)貯蓄から投資への起爆剤になる」と強調。株高相場で呉越同舟を演じた。
 新NISAでは非課税期間が無期限になり、年間の投資枠は360万円に広がるなど優遇措置が厚くなった。個人投資家の関心は高く、金融庁によるとNISA口座数は2023年末時点で2100万を超え、前年に比べ約19%増加した。
 SMBC日興証券の安田光チーフ株式ストラテジストは、新NISAにより年間約2兆円の個人投資家の資金が市場に流れ込むと予測。株価の下落時に買う傾向が強い個人投資家が「恒常的な買い手として存在感を発揮し始めるのではないか」と話す。
 ▽調整局面も
 23年末に3万3400円台だった平均株価は年明けから上昇を続けている。けん引役は海外勢だ。東京・名古屋2市場では今月2日までの1カ月間で外国人投資家が株式を計2兆円超買い越した。平均株価の1月の上げ幅は2800円を超えた。
 2月に入っても勢いは継続。好決算だったトヨタ自動車など主力銘柄が値を上げた。1989年に付けた史上最高値3万8915円の更新も現実味を帯びてきた。
 ただ、市場では急ピッチの上昇に懸念も高まっている。国内外の経済統計などをきっかけに売りが加速する可能性は否定できない。大和証券日米株チーフストラテジストの坪井裕豪氏は「株価の先高観から投資家が先回りをして取引をしている」と分析。株価が下落する調整局面が今後あり得ると指摘した。

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