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【裏金国会】企業献金、続く平行線 「禁止を」「寄付は自由」

 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた国会審議は、企業・団体献金を巡り平行線が続く。政治浄化へ献金禁止は不可欠と迫る野党に対し、岸田文雄首相は過去の最高裁判決に触れ「寄付の自由」と返す。互いに「政治改革」の必要性を訴えるものの、各論で隔たりが目立つ。

衆院予算委で、立憲民主党の長妻政調会長(左手前)の質問に答える岸田首相(右端)=6日午前
衆院予算委で、立憲民主党の長妻政調会長(左手前)の質問に答える岸田首相(右端)=6日午前
企業・団体献金を巡るやりとり
企業・団体献金を巡るやりとり
衆院予算委で、立憲民主党の長妻政調会長(左手前)の質問に答える岸田首相(右端)=6日午前
企業・団体献金を巡るやりとり

 ▽弊害
 「金の力で政治がゆがめられている。企業献金を禁止すべきだ」。6日、衆院予算委員会。立憲民主党の長妻昭政調会長は「政治とカネ」に狙いを定めた。献金が集まらない分野には予算が付かず、施策が後回しになるとの認識も示し「弊害だ」と首相に詰め寄った。
 「献金が政策に直結しているかのような言い方は当たらない」。首相はすかさず反論した。
 併せて、八幡製鉄(現日本製鉄)から自民への献金について「会社の社会的役割を果たすためになされたと認められる限りは目的の範囲内」などとした1970年の最高裁判決に言及。「憲法上、政治活動の自由の一環として、企業は政治資金の寄付の自由も有する」「献金する側には政治に関与する自由がある」と強調した。
 ▽抜け穴
 「政党交付金を導入する代わりに、企業献金を受け取らないようにしようというのが立法の趣旨だったはずだ」。日本維新の会の青柳仁士氏は1994年成立の政治改革関連4法を持ち出した。政治家個人への献金は禁止する一方、政治家が代表を務める政党支部は受け取ることができる現行の政治資金規正法には「抜け穴がある」と力説。企業献金の完全廃止を求めた。
 95年導入の政党交付金制度は、リクルート事件や佐川急便事件を受けた金権政治への批判を踏まえ、企業献金を制限し、代わりに国民に1人250円の負担を課した。青柳氏の指摘は、制度創設時の理念を忘れた「二重取り」は納税者の理解を得られないとの立場に立つものだ。
 とはいえ首相は正面から答えず「企業献金を含め、政治資金についてどうあるべきか。各党各会派で共通のルールとして決めることが重要だ」と従来答弁を繰り返した。
 ▽見返り
 「企業は見返りを求めて献金し、パーティー券を買う。政策のゆがみを引き起こしており、いずれも全面禁止すべきだ」。共産党の宮本徹氏も維新と同様、企業献金と政党交付金の二重取りの問題点を挙げ、全廃するようただした。
 首相は「民主主義のコストをどう支え、負担していくか。改めてしっかり考えることが重要だ」と述べるにとどめ、論議はかみ合わなかった。

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