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【KDDIがローソンTOB】小売り競争、異業種タッグ デジタルで顧客囲い込み

 KDDIがローソンに株式公開買い付け(TOB)を実施すると発表した。インターネット通販と実店舗が入り乱れた小売り競争を勝ち抜こうとタッグを組み、デジタル技術を活用して顧客を囲い込む。業界の垣根は崩れつつある。

小売り業界の構図
小売り業界の構図

 ▽最短15分
 「より効率的で便利な暮らしをサポートしたい。それには通信が不可欠だ」。ローソンの竹増貞信社長は6日、東京都内で開いた記者会見で、KDDIとの提携の意義を語った。
 提携具体化の第1弾となりそうなのは、今春をめどに本格参入するネット通販だ。全国1万4600店のコンビニから、最短15分で商品を顧客に届ける。
 KDDIからエンジニアの派遣を受け、システムを改良する。竹増氏は「究極的にはコンビニとEC(ネット通販)があれば買い物は成り立つ」と言い切った。
 ▽衣料品やポイント
 人口減少で市場が縮小する小売業界。食品メーカーによる値上げや、人手不足に伴う賃金上昇が利益を圧迫する。一方、新型コロナウイルス禍の外出規制でネット通販は普及が進んだ。取り巻く環境が大きく変わる中、各社とも顧客の獲得へ工夫を凝らしている。
 コンビニ最大手のセブン―イレブンは人気で利益率が高い自社ブランド製品をスーパーのイトーヨーカドーでも販売する。ファミリーマートは衣料品に力を入れ、ファンの掘り起こしに成功しつつある。
 イオンはドラッグストア最大手のウエルシアホールディングスを傘下に持ち、共通ポイントのWAON(ワオン)を展開する。楽天グループやアマゾンジャパンといったIT大手は既存の顧客基盤を活用し、生鮮品の通販を手がける。
 ▽違和感
 KDDIに対する投資家の見方は厳しかったようだ。6日の東京株式市場では取引終了直前にTOBが伝わった。ローソン株は急騰したが、KDDI株は急落した。
 市場では「本業からかけ離れたコンビニに触手を伸ばしたことに投資家が違和感を持った。『もっと効率良く稼いでほしい』というメッセージだろう。現時点ではネガティブサプライズだ」(中堅証券)との声があった。

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