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【裏金事件】安倍派、続く泥仕合 「議員辞めろ」「何で」

 自民党安倍派(清和政策研究会)が政治資金パーティー裏金事件で自壊した。長年にわたり放置された違法行為への責任論がくすぶり、トップの塩谷立座長に議員辞職を求める声すら飛び出す。だが塩谷氏は「何で俺一人が責任を負わないといけないんだ」と周囲にぼやく。他の幹部も腹が決まらない。党が2日始める議員聴取の裏で、最大派閥の泥仕合は続く。

福田派のパーティーで握手する福田赳夫元首相(右)と安倍晋太郎外相=1986年7月、東京都内のホテル
福田派のパーティーで握手する福田赳夫元首相(右)と安倍晋太郎外相=1986年7月、東京都内のホテル
衆院本会議場で小泉純一郎・森派会長(左)と話す森喜朗首相=2001年3月
衆院本会議場で小泉純一郎・森派会長(左)と話す森喜朗首相=2001年3月
自民党安倍派のパーティーであいさつする安倍元首相=2021年12月、東京都内のホテル
自民党安倍派のパーティーであいさつする安倍元首相=2021年12月、東京都内のホテル
清和政策研究会を巡る歩み
清和政策研究会を巡る歩み
福田派のパーティーで握手する福田赳夫元首相(右)と安倍晋太郎外相=1986年7月、東京都内のホテル
衆院本会議場で小泉純一郎・森派会長(左)と話す森喜朗首相=2001年3月
自民党安倍派のパーティーであいさつする安倍元首相=2021年12月、東京都内のホテル
清和政策研究会を巡る歩み

 ▽乾いた拍手
 「厳しい状況を乗り越えて、皆さんにもまた活躍していただきたい」
 1日昼、党本部。塩谷氏が最後の安倍派議員総会であいさつすると、乾いた拍手がまばらに鳴った。ひな壇に座る松野博一前官房長官ら実力者「5人組」はうつむき加減で、場は完全にしらけている。
 だが報道陣が退出すると、総会は熱を帯びるとともに、重い空気に包まれた。出席者が塩谷氏に対し「一人で議員辞職すべきだ」「とにかく責任を取れ」と迫ったのだ。
 「最後の最後まで派閥解散の業務がある。責任を持って果たしたい」と理解を求める塩谷氏。自身の進退については「しかるべき時に判断する」とだけ答えた。
 ▽「見苦しい」
 清和研は、福田赳夫元首相が1962年に創設した「党風刷新連盟」を起源とする。会長の安倍晋三元首相が2022年7月に死去後、後継をなかなか決められず、昨年8月末に塩谷氏を座長とし、5人組も交えた集団指導体制に移行。ベテランは「責任の所在がぼやけた」と指摘する。
 元事務総長の松野氏は総会後、記者団から幹部として一斉に責任を取るのかどうか問われると「ない」と即答。現事務総長の高木毅氏は「責任はもちろんあります」と認めたものの、具体論には踏み込まなかった。
 党執行部の一人は「仲間をかばい離党や辞職の道を選べば、同情が集まり浮かぶ瀬もある」と塩谷氏に水を向ける。しかし塩谷氏は「誰かが辞めて幕引きする方が問題だ」と憤まんやる方ない。
 この現状には、安倍派だけでなく他派閥の議員も「見苦しい」(若手)とあきれる始末だ。
 ▽「形だけ」
 「二十数年慣行として行われてきたのは事実」。塩谷氏は1月28日の記者会見で派閥パーティー収入のキックバック(還流)に関し、こう説明した。森喜朗元首相や小泉純一郎元首相が会長を務めていた時期から始まった可能性がある。
 元事務総長の下村博文氏は証言する。22年8月に派閥幹部の塩谷、西村康稔、世耕弘成各氏に自らを加えた4人で集まり還流金の扱いを協議した―。「個人の政治資金パーティーに上乗せして、政治資金収支報告書で合法的な形とする案もあったよ」
 派閥からの還流金を報告書に不記載とした理由を安倍派幹部は本当に知らなかったのか。核心部分は、実態解明に向けた関係議員の聞き取り調査に委ねられるが、閣僚経験者は冷めている。「何もしないと収まりが悪いから、形式的に調べるだけでしょ」

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