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【能登半島北方の隆起】300年前の地震でも痕跡 同一断層なら短い周期

 能登半島地震では石川県輪島市で最大約4メートルの隆起が確認されたが、輪島市から同県珠洲市にかけての海岸では、約300年前の地震でも隆起した痕跡が、これまでの研究で確認されている。現地を調査した金沢大の平松良浩教授は「300年前と今回とで同じ断層が破壊されたとすれば、国の地震評価の仕方を再検討する必要がある」としている。

化石を調べた石川県輪島市の海岸=2011年4月(平松良浩・金沢大教授提供)
化石を調べた石川県輪島市の海岸=2011年4月(平松良浩・金沢大教授提供)
能登半島地震の震源域と周辺の活断層
能登半島地震の震源域と周辺の活断層
化石を調べた石川県輪島市の海岸=2011年4月(平松良浩・金沢大教授提供)
能登半島地震の震源域と周辺の活断層

 能登半島地震は東日本大震災などの海溝型地震と異なる内陸型地震とされる。平松氏が再検討の必要性を指摘するのは、内陸型は海溝型よりも発生周期が長く、千年~数万年とされているためだ。政府の地震調査委員会も、この考え方に基づき、地震の規模や発生確率を予測する「長期評価」を行っているが、同じ断層が300年で大地震を繰り返したとすれば、内陸型としては異例の短さになる。
 平松氏のチームは2010~11年、輪島市から珠洲市にかけての海岸で、海水面に生息するゴカイの仲間「ヤッコカンザシ」の化石を調べた。
 8地点で化石に含まれる放射性炭素を分析して年代を調べたところ、1600~1800年代に生息していたものであることが判明。化石がある場所は当時の海岸線と考えられるため、隆起して陸地になったことが分かった。隆起量は高い所で約80センチ、長さは約30キロに及んでいた。
 この地域では、1729年にM6・6~7・0の地震が起こったことが知られており、チームはこの地震で隆起したと判断。地震の規模はM6・9だったと推定し、今回の能登半島地震の震源域に含まれる輪島沖の断層などが動いたとみている。今回と同一の断層ではなく、近くの断層が動いた可能性もあるという。
 一方、輪島市で4メートルもの隆起が確認された今回の地震は、隆起の規模から考えて、数千年に1回程度起こる大きな地震だったとの見方もある。
 能登半島沖には複数の断層が知られているが、今回どの断層が動いたのかは分かっていない。政府地震調査委は、半島を北東から南西に縦断する約150キロのエリアで地震活動が活発になっていると分析。発生メカニズムは、断層面の上側の地盤が下側に乗り上げる「逆断層型」としている。

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