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【災害廃棄物】仮置き場、確保が難航 高齢化で片付けも進まず

 能登半島地震で深刻な被害を受けた半島北部で、がれきや家財道具といった災害廃棄物の仮置き場確保が難航している。道路が激しく損傷するなどして、想定していた候補地が使えないケースがあったためだ。用地を確保できた地域でも、住民の高齢化や人手不足から片付けが進まない。今後はボランティアが増えることが予想され、環境省は仮置き場の運営や住民との連携など、被災自治体への支援を急ぐ。

石川県七尾市の仮置き場に積まれた災害廃棄物=22日
石川県七尾市の仮置き場に積まれた災害廃棄物=22日
石川県七尾市の仮置き場に積まれた災害廃棄物=22日
石川県七尾市の仮置き場に積まれた災害廃棄物=22日
災害廃棄物処理の流れ
災害廃棄物処理の流れ
石川県七尾市の仮置き場に積まれた災害廃棄物=22日
石川県七尾市の仮置き場に積まれた災害廃棄物=22日
災害廃棄物処理の流れ

 ▽桁違い
 環境省などによると、石川県珠洲、輪島両市と能登町の3市町では廃棄物の搬入開始が2月以降にずれ込む見通しだ。
 「昨年の地震と比べ、桁違いの量になる」。珠洲市の担当者は頭を抱える。同市では2023年5月にも最大震度6強を観測する地震が発生し、家屋倒壊などが生じたが、数日後には最初の仮置き場を開設。その後、より広い市有地に移した。
 次の災害に備え、同じ場所を仮置き場に想定していたが、ぬかるんでいる上、地震で周辺の道路に隆起や亀裂が生じたため選び直している。担当者は「家屋を解体しても、運ぶ大型車が通れない。一朝一夕にはいかない」と話した。
 ▽手付かず
 環境省によると、石川県内で仮置き場が必要とみられる12市町のうち、残る9市町では受け入れが始まった。現時点で持ち込まれるのは壊れた家電製品や家具、畳が中心で、受け入れにはまだ余裕があるという。同省は、被災地の住民の高齢化率が高く、ボランティア活動も始まったばかりで、多くの人がまだ片付けに着手できない状況だと分析する。
 同県七尾市が仮置き場に指定した駐車場では1月下旬、市内の女性(55)が倒壊した自宅から家具を運んでいた。「家のがれきをどうしたらいいか分からない。周りにも壊れた家はたくさんある。いつになったら片付けられるのか」と不安を漏らした。
 ▽支援枠組み
 七尾市など一部の自治体では、県が登録を受け付けたボランティアが活動を開始した。倒壊した家屋の解体作業が始まれば廃棄物の増加が見込まれ、仮置き場の追加などが必要になる。
 環境省は災害時の支援の枠組みとして、16年の熊本地震や18年の西日本豪雨などで廃棄物処理を経験した自治体の職員を登録。これまで30人以上が石川県内で活動しており、さらに追加する構えだ。ボランティアと住民との連携促進や、高齢者宅への戸別収集なども検討している。

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