テーマ : 読み応えあり

成人の9割以上にリスク 帯状疱疹、早期治療を 3人に1人が発症

 成人の9割以上に発症のリスクがあり、80歳までに3人に1人が発症すると言われる帯状疱疹(ほうしん)。50歳以上の発症率が高く、予防のためのワクチン接種費用を公費で一部助成する動きも各地の自治体で広がっている。主な症状や治療のポイント、ワクチン接種費用の助成について皮膚科医や自治体の担当者に聞いた。

吉木伸子院長
吉木伸子院長
脇腹に現れた帯状疱疹(よしき銀座クリニック提供)
脇腹に現れた帯状疱疹(よしき銀座クリニック提供)
吉木伸子院長
脇腹に現れた帯状疱疹(よしき銀座クリニック提供)

 よしき銀座クリニック(東京都中央区)の吉木伸子院長(美容皮膚科・一般皮膚科)は「原因は体内の神経節に潜む水痘(水ぼうそう)ウイルス。加齢やストレスで免疫が低下すると、胸や腹、背中などの左右いずれかに発疹が帯状に現れるのが特徴です」と説明する。
 発疹は痛みやかゆみを伴い、早期の治療が大切だ。吉木院長は「発症から72時間以内に、ウイルスの増殖を抑制する抗ウイルス薬を服用するのが最も効果的です」と強調する。皮膚の症状は2~4週で回復するが、50歳以上の約2割は、3カ月以上痛みが続く帯状疱疹後神経痛(PHN)になる可能性があるという。
 高齢者ほどPHNになりやすく、まれに視力や聴力の低下、顔面神経まひなどの後遺症で生活の質(QOL)が低下してしまうことも。「決して人ごとと考えず、発症や重症化予防のためにワクチンを接種しておくことをお勧めします」
 厚生労働省などによると、国内では2種類の帯状疱疹ワクチンがあり、それぞれ接種回数や費用が異なる。一つは1回の接種で済む生ワクチン。費用は7千~1万円で、予防効果は50~60%、持続効果は5年程度。もう一つは2回接種が必要な不活化ワクチン。費用は2回で計4万~6万円。予防効果は90%以上、持続効果は9年以上とされる。
 発熱や接種部の痛み、倦怠(けんたい)感などの副反応は、生ワクチンよりも不活化ワクチンの方が強く出る傾向があるという。
 東京都中野区では昨年3月、50歳以上の区民を対象に、生ワクチン1回につき4千円、不活化ワクチン1回につき1万円(2回で計2万円)の助成を始めた。中野区保健所の鹿島剛保健予防課長は「接種者は着実に増えています。今年3月末までの約1年で対象者の約8%が接種を受ける見込み。QOL維持のため、今後も呼びかけていきたい」と話す。
 吉木院長は「50歳以上の方は、地元の自治体で助成が受けられるかを確かめた上で、費用や副反応も考慮に入れて、いずれかのワクチンを選んで接種してほしい」としている。

いい茶0

読み応えありの記事一覧

他の追っかけを読む
地域再生大賞