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流量予測と観測値、最大7倍超の差 静岡県、JR東海主張を問題視【大井川とリニア】

 リニア中央新幹線工事に伴う大井川の流量減少問題で、JR東海が7日の国土交通省専門家会議へ提出した資料に示した河川流量の予測に対し、静岡県側は批判を強めている。実際の観測結果と予測値との間に最大で7倍を超える開きがあるためだ。JRはこの予測を根拠の一つに「中下流域の水利用に影響がない」と主張しているが、県はこの予測に基づいて中下流域への影響を議論することを問題視している。

工事前の椹島での河川流量予測値と観測地の比較
工事前の椹島での河川流量予測値と観測地の比較

 専門家会議に提出された資料によると、JRがトンネル工事の着工前を想定して試算した河川流量の予測値は、導水路トンネルの出口に当たる静岡市葵区の椹島(さわらじま)で毎秒10・9トンとなっている。しかし、椹島で実際に観測した流量(年平均)は2018年度が毎秒1・4トンだった。予測値と観測値の差が最も少ない14年度でも毎秒6・6トンで、予測値は約1・6倍に当たる。
 JRによる椹島での流量観測は月1回。JRは年平均値と、最大流量だった月、最小流量だった月の数値をそれぞれ示しているが、流量の少ない渇水期に調査をしていない年があった。
 流量予測には上流域の降水量や地質の想定も関係する。県の担当者は「降水量や(水が地質にどのぐらい浸透しやすいかを表す)透水係数の設定に無理がある」と指摘。「JRの予測には限度があり、精緻な数字を議論するのには適していない」と流量予測は当てにならないとの認識を示す。
 7日の会議後の記者会見で、JRの二村亨中央新幹線推進本部次長は、予測値と観測値の整合性について問われ「解析(予測)は流量を常時、計測しているところに合わせて(条件設定して)いるので、差が出てくることはある」と答えたが、予測の条件設定が適切かどうかについては明確な説明はなかった。

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