静岡県拠点 自転車3種目「金」 中国勢抑え 最速証明 杭州アジア大会
杭州アジア大会第5日の27日、静岡県東部で活動する自転車競技トラック勢が三つの金メダルを獲得した。4000メートル団体追い抜きは、三島市に拠点を置くブリヂストンの松田祥位、窪木一茂、橋本英也、児島直樹で組んだ男子が決勝で3分52秒757をマークして優勝。女子(梶原悠未、池田瑞紀、内野艶和、垣田真穂)も中国に0秒061差で競り勝ち頂点に立った。女子ケイリンは佐藤水菜(日本競輪選手会)が勝った。
男子団体追い抜き 狙い通り 後半加速で突き放す
【杭州=本社臨時支局・大沼雄大】地元中国の大歓声を切り裂くように、男子4000メートル団体追い抜きの日本が優勝のフィニッシュラインを駆け抜けた。アジア記録保持者として完全アウェーの雰囲気を物ともせず、3秒以上の大差を付けて最速の実力を証明した。
決勝レース直前。リオデジャネイロ五輪代表のベテラン窪木は、会場の異様な雰囲気にも「いつも通り落ち着いていこう」とメンバーに声をかけた。前半2000メートルを抑え気味で入り、後半にペースを上げるプランだ。
スタートで先頭を走った松田が狙い通りの展開をつくる。中国に先行を許しても「後半に向けてペースを保つことが大事」と自分の役割に徹した。中国の体力が落ちてきた2500メートル過ぎに逆転し、後は突き放すだけ。「相手の大歓声は全く耳に入らなかった」とチーム最年少22歳の児島。3、4周回を残して勝利を確信した。
チームは三島市に拠点を置くブリヂストンの単独編成。過去2大会は銅メダルだったが、今回は6月に3分51秒055のアジア記録を出し、大本命としての参戦だった。東京五輪も経験した橋本は「日本の強化システムがうまく進んでいる」と実感する。
アジア制覇を果たしたが、世界の壁はまだ高い。パリ五輪の出場権獲得に向け窪木は「1年1年成長できている。次は3分40秒台を目指す」と、欧米の強豪国との戦いを見据えた。