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忘年会シーズン食中毒にご注意 衛生意識に緩み? 静岡県警戒

 忘年会シーズンを迎え、静岡県が食中毒の発生に警戒を強めている。新型コロナウイルス禍で患者数は抑えられていたが、今冬は宴会や外食の機会が増えるとみられ、衛生意識の緩みも懸念されるためだ。ノロウイルスによる食中毒が多発する時期にも重なり、県は「冬場もリスクは高い」として手洗いなどの対策を呼びかける。

食中毒の月別発生件数
食中毒の月別発生件数

 県のまとめでは、2023年に県内で発生した食中毒はこれまでに6件、患者は113人に上る。21年(6件111人)や22年(8件167人)とほぼ同水準で推移する一方、コロナ感染拡大前の19年(14件785人)を大幅に下回る。コロナ禍で手洗いやアルコール消毒など衛生意識が高まり、飲食店の利用が控えられたことが背景にあるとみられる。
 ただ、23年は食堂やすし店などで提供された料理が原因となる食中毒が相次いだ。11月には西伊豆町の特別養護老人ホームで給食を食べた利用者と職員計33人が腹痛や下痢、血便などの症状を訴え、うち利用者2人が死亡した。一部の患者の便からは腸管出血性大腸菌O157が検出された。
 統計に含まれていないが、9月には青森県八戸市の駅弁製造会社の駅弁による集団食中毒が発生し、県内の患者は全国最多の123人に上った。
 冬場に注意が必要なのがノロウイルスによる食中毒だ。過去5年間の統計では約7割が11月~翌年3月に発生し、県は宿泊施設や仕出屋を重点的に監視するなど食中毒の発生防止に取り組む。免疫力が弱い子どもや高齢者は発症しやすいとされ、汚染された食材だけでなく、人の手や嘔吐(おうと)物などを介しても感染が広がる。
 県によると、ノロウイルスの予防には手洗いの徹底や食材の加熱、調理器具の衛生管理が有効で、このほかの食中毒対策にも共通するという。衛生課の担当者は「忘年会や新年会など会食の機会が増える。基本的な予防対策を徹底してほしい」と話す。
 (政治部・森田憲吾)

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