テーマ : 医療・健康

グレープフルーツに注意 薬を分解する働き阻害【もっと広がる クスリの世界】

 高血圧やコレステロールの薬を服用していて、「グレープフルーツを避けてください」と言われている方は多いと思います。
 これは、グレープフルーツに含まれる「フラノクマリン類」という成分が、薬を分解する酵素の働きを阻害するためです。薬の分解に時間がかかり、体内に薬として残る時間が長くなることで、血液中の薬の濃度が上昇します。その結果、薬の効果が強く出すぎたり、長く続いたりしてしまいます。副作用を起こす原因になるかもしれません。
 グレープフルーツは摂取した日だけではなく、数時間から数日間影響が続くと言われています。グレープフルーツだけでなく、ハッサク、ブンタン、スウィーティーなどにも同じような作用があるので注意が必要です。しかし、温州ミカン、デコポンなどは大丈夫と言われています。
 同じ種類で同様の効き目がある薬の中でも、影響される薬とされない薬があります。グレープフルーツが好きで諦められない方は、かかりつけの医師・薬剤師に「グレープフルーツの影響を受けにくい薬に代えられませんか?」と聞いてみるのも一つの方法です。
 もう一つ、グレープフルーツジュースやアップルジュースなどは、フェキソフェナジンという抗アレルギー薬と相性が良くありません。これらのジュースと一緒に服用すると、体内に薬物を取り込む役割をするトランスポーターの働きを阻害します。すると、体に取り込まれる薬の量が減ってしまい血液中の薬の濃度が低下します。この場合、重篤な副作用を誘発する可能性は少ないものの、せっかく服用しても薬が効かない可能性があります。
 花粉症の時期なので、抗アレルギー薬のフェキソフェナジンを服用している方も多いと思います。薬を服用する時や、その前後にグレープフルーツジュースやアップルジュースを飲むことは避けてください。この吸収を抑制する効果は数時間程度と言われています。
 薬との相互作用はこれだけではありませんので、新しい薬を処方されたら、ぜひかかりつけ薬剤師からよく説明を聞くようにお願いします。
 (牧野和也・静岡県病院薬剤師会常任理事)

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