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感染症流行初期でも緊急事態宣言 行動計画、10年ぶり抜本改定

 重大な感染症への対応をまとめた「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」の改定案が16日、判明した。新型コロナウイルスでの経験を踏まえ、感染症の科学的な知見が不十分な流行初期の段階でも、医療体制の逼迫の恐れがあれば緊急事態宣言などの「強度の高い措置を講じる」と明記。国民生活や社会経済活動への影響を勘案し、状況に応じて必要最小限の地域、期間とすることも盛り込んだ。現在の行動計画は2013年策定で、約10年ぶりに抜本改定される。
 来週にも政府の「新型インフルエンザ等対策推進会議」で議論し、パブリックコメント(意見公募)を経て、夏に改定される見込み。
 新型コロナの対応では、平時からの準備が不十分で初期に混乱した上、長期化を想定しておらず国民の行動制限を求める緊急事態宣言が繰り返されたことに批判があった。
 改定案では緊急事態宣言や、まん延防止等重点措置を巡り、状況に応じた考え方を示した。初期は、強い対策で感染症を封じ込めることを念頭に対応。病原体の情報が集まってくれば、性質によって対応を変える。ワクチンや薬が普及すれば、基本的な感染対策に移行する。
 いずれの段階も、医療提供体制が危ぶまれる場合は、緊急事態宣言などを検討する。その際、消費の状況やメンタルヘルス、社会不安に関する情報などを確認、措置の効果と影響を総合的に判断する。休校なども要請できるが、子どもに与える影響を考慮する。
 感染症は新型インフルエンザや新型コロナ以外の幅広い呼吸器感染症を想定。都道府県による外出自粛要請や就業制限、入院調整などの権限も明文化した。平時には、情報収集、感染症の監視体制や水際対策の整備、薬の研究開発、医療物資の備蓄などに努める。

 新型インフルエンザ等対策政府行動計画 病原性の高い感染症に備え、国などが取るべき対策をまとめたもの。2009年の新型インフルエンザの世界的な流行などを受け成立した新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、13年に策定された。現在の行動計画は、感染症の発生前から準備を進め、国内の流行のピークを遅らせて、医療提供体制を強化することが基本戦略。「海外発生期」「国内感染期」といった流行状況に応じて「予防・まん延防止」や「医療」といった項目ごとに対応を示している。政府は、新型コロナウイルス対応を踏まえ抜本的な改定に着手していた。

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