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人工甘味料 ダイエットには勧められない【知って、いかす 健康食品②】

 「ダイエットに良さそう」と、つい手に取る人も多い「カロリーゼロ」や「ノンカロリー」と表示された食品や飲料。これらの多くには人工甘味料が使われています。ところが、世界保健機関(WHO)は昨年5月、「体重の管理や病気の予防を目的に、砂糖代わりの甘味料(人工甘味料など)を取らないよう勧める指針」を出しました。

大石順子さん
大石順子さん

 砂糖やハチミツなどの糖質系甘味料の取り過ぎは肥満や糖尿病の原因になるため、糖分やカロリーを抑える手段として「非糖質系甘味料(NSS)」が広く利用されています。NSSの一つである人工甘味料にはアスパルテーム、アセスルファムK、スクラロースなどがあります。
 WHOは、NSSを長年にわたって摂取した場合、2型糖尿病の発症リスクが20~30%程度、脳卒中は19%、心血管疾患全体では32%上昇すると報告しました。
 人工甘味料は減量効果がないばかりか、食欲を高めてしまう可能性もあるようです。米国の南カリフォルニア大学は健康な成人を対象に、12時間の絶食後に人工甘味料(スクラロース)溶液、砂糖溶液、水を飲ませて比較する実験を行いました。その結果、スクラロース溶液の摂取後は食欲を増進させるホルモンの値が、砂糖溶液摂取後よりも高くなり、女性や肥満者では脳内の食欲に関わる領域の活動が活発になることも明らかになりました。
 そのほかにも、人工甘味料は腸内細菌の集まり(腸内フローラ)を乱したり、炭水化物と一緒に摂取すると人体に有害な影響が生じたりする可能性を示す研究があります。
 NSSは必ず取らなくてはいけないものではなく、栄養価もありません。ただ、使ってはいけないわけではなく、とりあえずカロリーを抑えるために取るのであれば短期間にしましょう。
 そもそもダイエットや病気予防で砂糖の摂取量を減らしたいのなら、果物など自然に存在する糖分を含む食品や、無糖の食品、飲料の摂取を心がけてください。例えば県内産の温州ミカンや緑茶もいいですね。食事の甘味を減らし、健康的な食習慣を確立しましょう。
 (大石順子=NR・サプリメントアドバイザー、薬剤師)

 おおいし・よりこ 静岡県薬剤師会医薬品情報管理センター元所長。公認スポーツファーマシストとしても、薬やサプリメントの使い方をアスリートに指導する。アロマテラピーアドバイザーの資格も持つ。

 

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