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静岡県に医科大学院大設置へ提言 横断的な研究推進など明記 準備委

 静岡県内の医療水準向上や医師確保を目指す医科大学院大(仮称)の設置を検討してきた準備委員会(委員長・田中一成県立病院機構理事長)は19日、川勝平太知事に基本構想を提言した。医学部を持たずに医学の博士課程を置く大学院は前例がなく、「既存の枠にとらわれない横断的、融合的な研究の推進」など特色を打ち出した。

医科大学院大の設置に向けた基本構想を提出する田中一成委員長(左から2人目)=19日午後、県庁
医科大学院大の設置に向けた基本構想を提出する田中一成委員長(左から2人目)=19日午後、県庁

 静岡県は提言を踏まえ、2024年度末をめどに具体的な研究分野やカリキュラム、設置場所、入学定員などを盛り込んだ基本計画を策定する。
 基本構想は「臨床技能と研究能力を高め続ける医療人」を養成すると明記し、本県の課題となっている医師の確保や定着を促すとした。研究分野のイメージとして、臨床病態解明、革新的医療創生、データサイエンス情報医学を例示。教育研修や研究、診療機能を備えた付属病院の確保の必要性も指摘した。
 田中委員長は「臨床に密着した医学研究ができるということで、県内の医学医療の発展だけでなく、日本の医学研究の新しい試みとして受け入れられるのではないか」と期待感を示した。川勝知事は「医学を志す人たちが富士のふもとに行こうということになる。現実化したいと強く思っている」と応じた。
 静岡県は人口10万人当たりの医師数が全国平均を下回るが、国は医学部の新設を認めていない。医療・教育関係者らでつくる準備委は22年3月から、全国初の医科系大学院大の設置に向けて検討を重ねてきた。県は基本計画の策定作業と並行して文部科学省と協議を進める。設置に必要な教員の確保も課題となる。

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