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紅こうじサプリ 青カビ混入なら「異変気付くのでは」 有識者が指摘 

 小林製薬の紅こうじを使ったサプリメントの原料から、青カビがつくる「プベルル酸」という天然化合物が検出された。製造過程で、紅こうじ菌を付着させる米や、培養時に青カビが混入した可能性がある。機能性表示食品に関する消費者庁の検討会で委員を務めた合田幸広氏が9日までに取材に応じ「(青カビ混入などがあれば)現場は少なくとも何らかの異変に気付くのではないか」と指摘した。

製造過程で青カビが混入するイメージ
製造過程で青カビが混入するイメージ

 一方「青カビの種類によっては気付かないこともある」との見解の専門家もいる。プベルル酸を巡っては、報告が相次ぐ腎疾患との関連とともに、含まれるに至った経路の解明も焦点となる。
 合田氏は、紅こうじ菌の培養過程で想定外の物質が大量につくられたのだとすれば「色が変わることもあるだろう」と話し、製品の状態に変化が起きるとする。
 紅こうじ菌は、青カビやこうじ菌に比べ、生育スピードが遅い。琉球大の橘信二郎准教授(微生物利用学)によると、実験室では、蒸した米に紅こうじ菌を付着させ、米の水分と温度を調節しながら培養する。
 米を菌糸が覆うのに4~5日かかり「培養初期に青カビなどの胞子が少量でも混入すると、一気に汚染されることは十分あり得る」。クリーンルームで培養してもカビの胞子が作業員の髪や肌へ付着することもあるなど、外部からの持ち込みを完全に防ぐのは難しい。
 色やにおい、水分量の変化などから汚染に気付くことが多いというが、青カビの種類によっては識別が難しいこともあるという。橘氏は「(工場などの)大型の自動培養装置では、細かい変化に気付かないこともあるかもしれない」との見方も示す。
 名古屋女子大の中島正博教授(食品衛生学)は「米がカビや何らかの毒性物質で汚染されていた恐れもある」と見る。その上で原因調査に当たっては「検出された物質が、どの程度の摂取量で健康被害を起こすかを動物実験で調べなければならない。1年はかかるかもしれない」と話した。

プベルル酸 青カビがつくる天然化合物で、英語表記は「puberulic acid」。炭素、水素、酸素の原子からなる。1932年に英国の大学の研究者らが初めて報告した。抗生物質としての働きがあるとされ、蚊が媒介する感染症マラリアに効果がある一方、マウスを使った実験などで毒性が報告されている。人の腎臓への影響は不明。小林製薬の「紅こうじ」サプリメントには本来含有されていないが、一部の製品ロットの原料から検出された。

静岡県内健康被害疑い、新たに8人  静岡県は9日、小林製薬の「紅こうじ」サプリメントを巡り、県内で健康被害の疑いがある患者が新たに8人確認されたと発表した。県内の患者は計35人になった。

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