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DMATの活動期間「短い」 石川・珠洲市で救急対応の医師指摘 1泊2日のみの隊も、搬送時間もネックに

 聖隷浜松病院(浜松市中央区)のDMAT(災害派遣医療チーム)の一員として8~13日、能登半島地震で被災した石川県珠洲市の市総合病院で医療活動に従事した伊良部真一郎医師(44)が23日までに、取材に応じた。昨年2月のトルコ大地震の際も現地へ駆け付けて活動に従事した伊良部さんは、当時の国際緊急援助隊と比べてDMATの活動期間が短いことを課題として指摘した。

支援活動に従事するDMAT隊員たち=10日、珠洲市総合病院(聖隷浜松病院提供)
支援活動に従事するDMAT隊員たち=10日、珠洲市総合病院(聖隷浜松病院提供)
伊良部真一郎医師
伊良部真一郎医師
支援活動に従事するDMAT隊員たち=10日、珠洲市総合病院(聖隷浜松病院提供)
伊良部真一郎医師

 各地のDMAT数チームからなる支援指揮所本部長を務め、救急対応などを担った。県外DMATは1泊2日しか活動できない隊があった中で、伊良部さんは比較的長く珠洲市に滞在した。ただ、「2週間、70人体制だった」国際緊急援助隊と比べると期間も人数も少なく、「医療者としてはトルコの時のほうが長期間で、大人数だったため、指揮命令系統が構築しやすかった」と振り返る。
 厚生労働省DMAT事務局によると、DMATは災害発生直後の急性期から活動できる機動性を持った医療チームと定められ、機動性確保の観点から初動のチーム(1次隊)の活動時間は移動を除いておおむね48時間以内が基本となる。
 だが、道路状況の悪い能登半島の被災地では医師らが救急車に乗り、治療を行いながら患者を珠洲市から金沢市へ搬送すると、7~8時間を要する。1泊2日では、搬送だけで活動が終わってしまう。本部での指揮も同じチームで一定期間の活動がないと、情報収集や状況整理が困難という。
 今回の派遣を通じ、伊良部さんは「短期で交代すると効果的な支援が難しい。指揮する人間が頻繁に変わって活動方針がぶれる心配もある」と語った。
 (浜松総局・松浦直希)

 DMAT(ディーマット、災害派遣医療チーム) 1995年の阪神大震災を教訓に2005年、厚生労働省により日本DMATが発足した。大地震などの大規模災害時に地域に必要な医療提供体制を支援する。厚労省の認めた研修、訓練を受けたチームが各地の災害拠点病院などに所属している。チーム数は2023年4月1日時点で全国に1773隊、静岡県内は41隊ある。

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