テーマ : 医療・健康

iPSで子宮頸がん縮小に成功 来夏に治験開始、順天堂大

 順天堂大などのチームは21日までに、人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作製した免疫細胞を使い、マウス実験で子宮頸がんを縮小させることに成功したと米科学誌「セル・リポーツ・メディシン」に発表した。治療が難しい再発した子宮頸がん患者を対象に来夏、臨床試験(治験)を始める予定。

免疫細胞から作製したiPS細胞(順天堂大・安藤美樹主任教授提供)
免疫細胞から作製したiPS細胞(順天堂大・安藤美樹主任教授提供)

 チームは、子宮頸がんの原因ウイルスであるヒトパピローマウイルス(HPV)に感染した細胞を攻撃する免疫細胞「キラーT細胞」を健康な成人の血液から採取し、iPS細胞を作製。ゲノム編集技術を使い、患者の拒絶反応が起きにくくなるようiPS細胞の遺伝子を改変し、再びキラーT細胞に成長させた。
 がんのマウスにこの成長させたキラーT細胞を投与したところ、がんが大幅に小さくなり、長期間増殖を抑えることができた。元の細胞に比べ、iPS由来細胞ではがんを攻撃する性質が高まっていた。
 治験では、通常の抗がん剤治療が効かない、再発した患者9人を対象に投与し、安全性を確認しながら投与量を徐々に増やす計画。同大の安藤美樹主任教授は「子宮頸がんは再発すると治療が難しいことが多い。実用化に向け着実に進めていきたい」と話している。
 子宮頸がんは20代から増え始め、若い世代の女性に多いのが特徴。年に約1万人がかかり、約3千人が死亡する。

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