テーマ : 医療・健康

低用量ピルをオンラインで 生理の症状 通院せず軽減 処方サービス広がる

 おなかが痛い、体がだるい、経血量が多くてめまいがする-。不快な生理の症状を軽くする低用量ピルを、オンライン診療で処方し、自宅に配送するサービスが広がっている。通院の手間や病院での待ち時間を減らし、女性の生活の質(QOL)向上に貢献している。

オンライン診療のイメージ。スマートフォンなどで医師に直接、症状などを相談する
オンライン診療のイメージ。スマートフォンなどで医師に直接、症状などを相談する
「『女性だから仕方ない』と生理のつらさを我慢しないでほしい」と話す坂梨亜里咲さん
「『女性だから仕方ない』と生理のつらさを我慢しないでほしい」と話す坂梨亜里咲さん
オンライン診療のイメージ。スマートフォンなどで医師に直接、症状などを相談する
「『女性だから仕方ない』と生理のつらさを我慢しないでほしい」と話す坂梨亜里咲さん

 低用量ピルは女性ホルモンの成分を含む飲み薬で、1999年に日本で認可された。避妊や生理周期の調整ができる他、生理前に心身が不調になる月経前症候群(PMS)や生理痛を和らげる。
 新型コロナウイルス禍で2020年からオンライン診療の規制が緩やかになり、スマートフォンのアプリを使ってピルを処方するサービスなどが続々と登場。より手軽に服用できるようになった。
 「生理中はおなかや腰がひどく痛み、仕事にも生活にも支障を来していた」と漏らすのは、栃木県で料理教室を営む20代女性だ。ピルを飲み症状は良くなったが、仕事と育児に追われて通院を忘れることも。薬を切らさないか常に不安だった。
 そんな時にオンライン処方サービスを試すと、通院の煩わしさや不安が一気に解消した。「手軽で、対面診療との差もなかった。安心して続けられそうです」と喜んだ。
 ピルのオンライン処方サービスなどを提供する「meder[メデリ]i」(東京都目黒区)の代表取締役、坂梨亜里咲さん(33)は「オンライン処方は、日本の女性が産婦人科を受診する地理的・心理的なハードルを下げた」と語る。
 坂梨さんによると、国内では産婦人科医が不足し、「ピルを使う人は性行動が盛ん」との偏見も根強いため、受診をためらう女性が多かった。オンライン処方サービスは、そうした心身の負担がないため人気だという。
 mederiは複数の産婦人科医と提携。利用者は無料通信アプリ「LINE[ライン]」上で会員登録し、医師がビデオ通話で診察する。午前10時から午後11時まで診察に対応している。
 22年にサービスを開始し、23年には利用者が25万人を超えた。20~30代の利用者が多いが、受験勉強や部活に集中したい中高生や、母子共に処方を希望するケースも増えているという。坂梨さんは「生理の負担を減らす一つの選択肢として試してみてほしいです」。
 ただ、服用には注意点もある。ピルのオンライン診療を行っている目黒ウェルネスクリニック(東京)の産婦人科医、郡詩織さん(36)は、低用量ピルは副作用として一時的な吐き気や頭痛が起こる可能性があると指摘。喫煙者や40歳以上の人は血栓症などのリスクが高まる恐れもあるとし「副作用やリスクを理解し、信頼できる専門医が診察するサービスを選んでほしい」と話した。

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