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4歳児、言葉が舌足らず 舌の大きさ、歯並びが影響【歯の診察室】

  4歳8カ月の男児についてです。赤ちゃんの時から言葉は早い方で語彙[ごい]も多く、知能的には問題がないのですが、「舌足らず」で何を言っているのか分からないことが多くあります。成長すれば治ると思っていましたが、変わりません。例えば「空[そら]」が「虎[とら]」に聞こえます。何か治療法はありますか。
  言葉を話すためにはまず、音を作り出す唇や舌、顎、喉の器官に、脳から指令を送ります。指令を受け取ると、肺から息を出して喉仏にある声帯を震わせて声を作り、最後に舌の形を変えたり、口を動かしたりすることで音を作ります。この過程を構音または発音と呼びます。
 構音機能は5歳を過ぎると徐々に完成し、サ行の発音は5歳から6歳といわれています。
 発音には、舌の大きさや歯並び、歯の有無、上顎や喉の形などが影響します。出っ歯(前突)や前歯がかみ合わない「開咬[かいこう]」になるとサ行やタ行の発音がうまくできなくなることがあります。
 また、歯並びやかみ合わせの影響、または口の周りの筋肉が低下することで上下の唇が閉じない「口唇閉鎖不全」の場合には、舌の機能異常やそしゃく、発音に影響が出ることがあります。
 さらに、舌の下(裏側)にある膜状の組織「舌小帯[ぜっしょうたい]」が短かったり、舌の先端に近い所についていたりする場合には、舌の動きが制限され、発音やそしゃく、のみ込みに影響が出ることもあります。
 治療法としては、舌の機能訓練をしたり、舌小帯を切除したりして、舌を動かしやすくする方法があります。前突、開咬の治療は矯正治療により正常な歯並びにします。詳しくは小児歯科専門医がいる歯科医院などを受診してください。
 (芹沢祥宏・静岡県歯科医師会生涯研修部)

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