テーマ : 医療・健康

世界平均寿命1・6歳短く 新型コロナ流行2年間

 新型コロナウイルスが世界的に流行した2020~21年の2年間で、世界中の人々の平均寿命が1・6歳短くなったとの推計結果を、国際研究チームが21日までに英医学誌「ランセット」に発表した。過去約70年間は世界的に長くなる傾向だったが、流行により84%の国と地域で反転した。

新型コロナウイルス・オミクロン株の電子顕微鏡写真(国立感染症研究所提供)
新型コロナウイルス・オミクロン株の電子顕微鏡写真(国立感染症研究所提供)

 チームの研究者は「新型コロナの流行は、世界中の大人に対し、紛争や自然災害など過去半世紀に起こったどの出来事よりも甚大な影響を与えた」とコメントしている。
 米ワシントン大の研究所を中心とした国際的な共同研究「世界の疾病負荷研究」の一環。204の国と地域の人口動態統計や国勢調査など、2万種類を超えるデータを使い、新型コロナによる死亡率や平均寿命の変化を計算した。
 その結果、21年の世界全体の平均寿命は71・7歳で、19年と比べて1・6歳短くなっていた。米国は77・1歳で2歳短くなり、ペルーは71・6歳で6・6歳短縮。日本は85・2歳で0・2歳長くなり、台湾やニュージーランドなども長くなったが、長くなるペースは鈍化した。
 20~21年の全死者数は約1億3千万人で、うち約1600万人は新型コロナが要因だったと推計された。
 世界全体の15歳以上の死亡率は増加した。新型コロナによって増えたとみられる「超過死亡率」は、サハラ砂漠以南のアフリカや中南米、中東などで高かった。日本や台湾、モンゴルなどは比較的低かった。
 5歳未満の子どもの死亡率は、従来と同様に下がり続けており、新型コロナの影響はほとんど見られなかった。

 新型コロナウイルス 2020年以降、世界で大流行したウイルス。感染すると、発熱、せき、喉の痛みといった症状の他、重い肺炎などを引き起こす。高齢者や肥満、心臓に持病がある人などが重症化しやすい。当初の武漢株から変異を繰り返し、アルファ株、デルタ株といった新しい株が広がっていった。21年冬以降は感染力の高いオミクロン株が主流となり「BA・5」や「XBB・1・5」といったさまざまな派生型が出現、現在も感染者が出ている。

いい茶0

医療・健康の記事一覧

他の追っかけを読む
地域再生大賞