テーマ : 医療・健康

世界初、ブタの腎臓を患者に移植 米病院、臓器不足緩和へ

 【ヒューストン共同】米マサチューセッツ総合病院は21日、重い腎臓病を患ったマサチューセッツ州の62歳男性にブタの腎臓を移植したと発表した。生きている患者への移植は世界初。ブタは人体側の拒絶反応を避けるため、69カ所の遺伝子操作を施してあった。男性は順調に回復し、近く退院できる見込み。移植用臓器の不足を緩和するための重要な一歩だと評価した。

移植手術のため、ブタの腎臓を箱から取り出す看護師=16日(マサチューセッツ総合病院提供、共同)
移植手術のため、ブタの腎臓を箱から取り出す看護師=16日(マサチューセッツ総合病院提供、共同)

 同病院移植外科の河合達郎医師は「この手法が、世界で腎不全に苦しむ何百万人もの人々にとって頼みの綱になることを望む」とコメントした。
 使用した腎臓は米企業eGenesis(イージェネシス)が供給した。遺伝子を高効率で改変するゲノム編集技術を使ってブタの一部遺伝子を削除し、人間の遺伝子を挿入することで人体への適合性を高めた。ブタのウイルスの機能を失わせる感染対策もした。サルへの移植で有効性を検討し、人間の患者への実施に踏み切った。
 男性は長く2型糖尿病や高血圧に悩まされ、7年間の透析治療の後、2018年に死亡した人から腎臓の提供を受けた。だが昨年、機能不全に陥った。手術は食品医薬品局(FDA)が実験的な医療を対象に出す単発の許可を受けた上で、今月16日に実施した。拒絶反応を抑えるための新たな免疫抑制剤も使った。
 米国ではブタから人への「異種移植」研究が進んでいる。22年、重い心臓病を患いブタの心臓の移植を受けた男性は約2カ月後に死亡した。

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