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国内はしか発症相次ぐ 同じ航空機の帰国者ら

 海外からの帰国者や旅行者のはしかの感染報告が国内で相次いでいる。自治体への取材によると、同じ航空機に乗り合わせた人の間で感染が広がるなどし、今年に入って少なくとも計14人の感染が確認された。さらなる拡大を防ぐため、専門家は感染リスクが高い渡航者らにワクチン接種を呼びかけている。

麻疹ウイルスの電子顕微鏡写真(米疾病対策センター提供)
麻疹ウイルスの電子顕微鏡写真(米疾病対策センター提供)

 大阪府は1日、東大阪市の20代男性がはしかに感染したと発表した。市によると男性は2月24日、アラブ首長国連邦(UAE)から関西空港に到着したエティハド航空EY830便で帰国していた。
 はしかは感染力が非常に強く同じ空間にいるだけで空気感染する。大阪府によると3月13日時点で、同便に乗り合わせた名古屋市の20代女性2人や岐阜県の50代女性、大阪市の20代女性など、関連して1都2府4県で計10人の感染が判明した。
 その後飛行機に乗っていない京都市の30代男性も発症。関空で感染者と接触したとみられる。感染者の中には判明前にミュージカルやコンサートを見に行った人もおり、運営側が参加者に注意喚起した。
 日本は2015年に世界保健機関(WHO)から「排除状態」と認定されており、はしかの感染は今回のような海外からの持ち込み例に限られている。手洗いやマスク着用では防ぎきれず、ワクチン接種が唯一の予防法で、幼少期に2回の定期接種がある。接種率は9割を超えているが、新型コロナウイルス流行後は減少傾向だ。
 東京医大の浜田篤郎特任教授(渡航医学)は、日本人の多くは一定の免疫を持っており、国内で爆発的に増加する可能性は低いと指摘。「再び国内にウイルスが定着するのを防ぐために、特に海外渡航する人や海外からの旅行者に接する機会のある人がワクチンを接種することが重要だ」と話している。

 はしか 麻疹ウイルスを原因とする感染症。感染力が極めて強く、同じ空間にいるだけで空気感染する。免疫がなければ感染後約10日で発症し、発熱やせきなど風邪に似た症状や発疹が出る。発症の前日から発疹出現後4~5日目までは周囲に感染させる懸念がある。先進国でも千人に1人が死亡するとされ、有効な予防法はワクチンだけ。確実に免疫をつけるには2回の接種が望ましいとされ、現在は幼少期に計2回の定期接種が行われている。

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