テーマ : 医療・健康

【科学する人】男性の不妊治療に取り組む 岡田弘さん㊤ 精子採取、多くの症例

 不妊治療で使う第三者の精子を収集・保管する国内初の民間精子バンクを設立した独協医大の岡田弘特任教授(69)は、泌尿器科医として40年以上、男性不妊と向き合い続けてきた。バンクは精子提供を巡る法整備が進まないことなどを理由に昨年3月に休止したが、いずれ条件が整えば再開したいという。「生まれてくる子は社会として大切にすべきだ。安全な方法を確立して不妊カップルを支えたい」

診察室で男性不妊研究について話す独協医大の岡田弘特任教授=埼玉県越谷市
診察室で男性不妊研究について話す独協医大の岡田弘特任教授=埼玉県越谷市

 精子バンクは、無精子症など男性側に不妊の原因がある夫婦が利用できるよう、第三者から提供された精子を収集・保管する組織だ。提供された精子は機能や感染症の有無などを検査した後、凍結保存される。
 岡田さんは泌尿器科医として男性不妊の研究を続けてきた。無精子症の男性の精巣を顕微鏡下で切開し、精子を採取する「顕微鏡下精巣内精子採取術」では国内最多の症例数を持つ。「才があるわけではないが、先輩に恵まれて手術数はとにかく多く積み重ねてきた」と振り返る。
 独協医大を定年退職し、同大特任教授に就任した翌年の2021年、民間の精子バンクを設立した。交流サイト(SNS)上での精子提供取引の横行に危機感を感じたことが理由だった。

 おかだ・ひろし 1954年神戸市出身。85年神戸大大学院博士課程修了。独協医大埼玉医療センター病院長などを経て、2020年から現職。

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