テーマ : 医療・健康

災害時に備えて 服用情報 常に把握を【もっと広がる クスリの世界】

 災害はいつ起こるか分かりません。1月1日に発生した能登半島地震でも高齢者をはじめとする多くの方が被災し、持病のある人々に薬が届かないという事態が起きました。糖尿病や高血圧、気管支ぜんそく、てんかん、狭心症などの慢性疾患は、服薬が止まることで症状が急激に悪化し、災害関連死につながるリスクもあります。
 あなたは毎日飲んでいる薬を説明することができるでしょうか? 大きな災害が発生した時には、病院や薬局が機能せず、病気や薬剤の情報が見られなくなる可能性があります。救護所の医師や薬剤師は、患者さんが飲んでいた薬をなかなか特定できず、すぐに適切な対応ができない場合もあります。
 常用薬は最低5日分、できれば1週間分を用意し、すぐ持ち出せる所に置いておきましょう。普段から残薬に余裕があるうちに受診してください。薬を持って逃げられない場合もあります。避難先で医療者に伝えられるように、薬の種類や服用量、治療がどの段階かを把握しておきましょう。お薬手帳や薬剤情報提供書(薬の写真や名前、効能や注意事項が記載されたお薬の説明書)は常に新しいものに更新してください。携帯電話で写真を撮っておくこともお勧めします。
 また、マイナンバーカードを使った「マイナ保険証」は、オンライン資格確認の端末にて、本人の同意の下、薬剤情報や診療情報、特定健診情報などの閲覧が可能になります。災害時には特別措置(適用範囲および期間がある)としてマイナンバーカードを持参しなくても、閲覧することができます。能登半島地震でも、1万2000件以上の情報が閲覧されています。
 災害はいつ起こるか分からないからこそ、常に備えることが重要です。事前に準備しておくことで、災害発生時でも必要な薬を手に入れ、自身の健康を守ることができます。普段からあなたの「かかりつけ薬剤師」に災害時の備えについても相談しておきましょう。
 (菅沼貴仁・静岡県薬剤師会常務理事)

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