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コロナ医療費、4月から負担増 国内初確認4年、「第10波」も

 新型コロナウイルスの感染者が国内で初確認されてから15日で4年となった。冬に入って新たな変異株が急増し、流行「第10波」が立ち上がりつつある。一方でワクチンは4月から有料となり、治療薬代や入院費の公費支援も3月末で終了する方向だ。厚生労働省はインフルエンザなどと同じ通常の医療体制への移行を目指しており、新型コロナの医療費の自己負担は増える見通しだ。

厚生労働省
厚生労働省

 厚労省によると、全国約5千の定点医療機関が1月1~7日に報告した新型コロナの新規感染者数は計3万4035人で、7週連続増加し、流行の波が拡大しつつある。感染症法上の5類に移行した2023年5月より前の参考データと比べると、第8波が始まりつつあった22年10月の水準だ。
 流行規模が見通せない中で、無料でワクチンを打てる「特例臨時接種」は終了し、4月からは65歳以上の高齢者らを対象にした定期接種となることが決まっている。秋から冬に年1回実施し、7千円程度の自己負担となる見込みだ。
 対象外の人は任意接種となるため、負担額は増えそうだ。米疾病対策センター(CDC)によると、12歳以上用のファイザー製は115ドル(約1万7千円)、モデルナ製128ドルで、インフルエンザワクチンより高額だ。新タイプのワクチンを導入して昨年9月に始まった秋接種の接種率は全体で20・8%、65歳以上で50・2%だが、有料化でさらに低下しそうだ。
 治療薬代や入院費について、5類移行前は全額公費負担だったが、移行後は段階的に支援を縮小している。治療薬代は医療費の窓口負担割合に応じて3千~9千円の自己負担が生じるようになり、入院費補助も減額された。4月からは通常の医療体制を目指す。
 今春の支援終了について大阪健康安全基盤研究所の本村和嗣・公衆衛生部長は「現状の感染状況で判断するのは、まだ早い」とくぎを刺す。「冬季の流行をある程度抑え込むことができたら、医療費負担の議論を始めてもいいのではないか」と話している。

 新型コロナウイルス感染症の経過は次の通り。
 2019年12月30日 中国・武漢市当局が原因不明の肺炎患者を相次いで確認と通知
 20年1月15日 国内初の感染者を確認
 30日 世界保健機関(WHO)が緊急事態宣言
 2月1日 感染症法上の「指定感染症」に位置付け
 4月7日 7都府県に初の緊急事態宣言。その後、全国に対象拡大
 21年2月13日 「新型インフルエンザ等感染症」に位置付け
 17日 医療従事者にワクチン先行接種開始
 22年9月26日 感染者の全数把握を全国一律で簡略化
 23年5月8日 「5類」に引き下げ。全数把握から定点把握に移行。医療支援を縮小
 10月1日 コロナの治療薬代が一部自己負担に
 24年1月15日 国内初の感染確認から4年

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