テーマ : 医療・健康

受動喫煙肺がん 「変異」で悪化か 特有の遺伝子型 喫煙者には確認できず

 受動喫煙者の肺がんでは、たばこを吸う人とは異なる型の遺伝子変異が発生し、腫瘍のがん化を促している可能性があることが分かったと国立がん研究センターなどが16日、発表した。チームは「受動喫煙を防ぐ対策の必要性を示す結果だ」としている。

肺がんの遺伝子解析
肺がんの遺伝子解析

 チームは10代、30代のいずれかで受動喫煙を受けて肺がんとなった女性計213人のがんを遺伝子解析。受動喫煙を受けなかった人に比べ遺伝子変異が約1・1倍と多く蓄積していた。
 毎日受動喫煙していた64人を詳しく調べると、特に初期の腫瘍が悪性化するのを促す「APOBEC」という型の遺伝子変異の割合が受動喫煙を受けなかった人の約2・1倍と多かった。変異はがん細胞で均一に起きていないことも確認した。
 この型の変異が多いと抗がん剤が早期に効かなくなるなど治療経過が悪い傾向があるという。たばこを吸う人の肺がんでは遺伝子変異の数は多いが、この型の変異はほとんど確認できなかった。
 チームは受動喫煙を受けると肺で炎症が起き、APOBEC型変異の蓄積によって腫瘍細胞が不均一な状態となり、がん化を促している可能性があるとした。
 受動喫煙は肺がんを引き起こすリスクを約1・3倍に高めることが判明していたものの、遺伝子変異との関わりや、がんになる仕組みは分かっていなかった。

 受動喫煙の健康影響 たばこの煙にはニコチン、タール、一酸化炭素などの有害物質のほか約70種類もの発がん性物質が含まれる。周りの人が吸い込む副流煙にもこうした物質が含まれ、受動喫煙は成人で肺がんのほか心筋梗塞や脳卒中、子どもで小児ぜんそくや乳幼児突然死症候群のリスクが高まる。政府は2020年施行の改正健康増進法で受動喫煙対策を強化。学校や病院、行政機関は原則敷地内禁煙に、飲食店などは原則屋内禁煙としたが、既存の小規模店など喫煙可能な店も多く、対策が不十分との指摘がある。

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