テーマ : 医療・健康

希少疾患「ドラッグロス」拡大 欧米ベンチャーと連携不足

 米国で実用化された希少疾患の新薬が、日本では臨床試験などの承認申請に向けた開発すらされていない「ドラッグロス」と呼ばれるケースが急増しているとの分析結果を、名古屋市立大などのチームがまとめた。新薬開発の担い手として欧米で存在感を増すベンチャー企業と、日本企業との連携が不十分なのが要因と指摘した。

日本未承認の希少疾患新薬の割合
日本未承認の希少疾患新薬の割合

 名古屋市立大の児玉耕太教授は「開発の早い段階から外資系のベンチャーに日本企業がしっかり投資、連携できるよう後押しをする必要がある。国内のベンチャーを育成する取り組みも重要だ」と話す。
 希少疾患は約7千種あるとされるが、約95%が有効な薬がない。患者数が少なく、開発コストがかかる一方で、収益性が低いなどとされ、創薬の主体はベンチャーや研究機関となりつつある。
 チームは、2005~21年に米国で承認された希少疾患薬249製品を分析。うち日本未承認なのは120製品、開発すらされていなかったのは86製品だった。
 米国で承認された希少疾患新薬で日本未承認のものの割合は増え続けており、18~21年では68%に達した。この間、米国で承認された新薬の半分以上はベンチャー発。外資系ベンチャーのうち、自力で日本での開発をしたのは27%だった。
 ベンチャー発の製品の多くは、米国での開発が最終段階に入ってから日本企業や日本に拠点のある外資系企業と連携し始める傾向にあり、日本での承認が遅れる要因となっている可能性がある。
 成果は国際専門誌「ドラッグ・ディスカバリー・トゥデー」に掲載された。

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