テーマ : 医療・健康

乳がん幹細胞弱らせ死滅 心不全薬、再発予防期待

 抗がん剤が効きにくいタイプの乳がんのもととなる「がん幹細胞」を、心不全の治療薬で弱らせることができるのを突き止め、抗がん剤での死滅に成功したと、金沢大などのチームが15日付の米医学誌に発表した。手術前にこの治療薬と抗がん剤を一緒に投与すれば、再発を予防できる可能性があるという。

抗がん剤が効きにくいタイプの乳がん
抗がん剤が効きにくいタイプの乳がん

 日本人の乳がん患者のうち約15%は抗がん剤が効きにくいタイプで、抗がん剤などを投与した後に手術しても、数年から十数年後の再発例が一定数ある。これまでの研究で、乳腺組織にがん細胞が残っていると、再発が多くなることが分かっていた。
 チームは、乳がん患者から集めたがん幹細胞のうち、抗がん剤が効きにくいタイプの乳がんを発生させると考えられるものを選び、「祖先がん幹細胞」と名付けた。細胞を使った実験で、心不全の治療薬と抗がん剤を併用すると、腫瘍の形成が抑制され、祖先がん幹細胞がなくなった。
 金沢大の後藤典子教授(がん生物学)は「臨床実験を進めて、乳がん患者の再発予防に役立てたい」としている。

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