テーマ : 医療・健康

「出自知る権利」明記で調整 生殖法案、来年国会提出へ

 生殖補助医療の在り方を考える超党派の議員連盟(野田聖子会長)は、第三者の精子や卵子を使った不妊治療に関する新法のたたき台で、争点となっている生まれた子が遺伝上の親を知る「出自を知る権利」を明記する方向で調整していることが7日、関係者への取材で分かった。身長や血液型など個人を特定しない情報は、子の要望があれば開示する方針。
 氏名など個人の特定につながる情報は、提供者が同意した場合にのみ開示する。新法は来年の通常国会での提出を目指し、同日午後の議連会合でたたき台の修正案が示される。
 新法を巡っては、議連が昨年3月、提供精子などによる人工授精や体外受精が受けられるのは医学的に子ができない法律上の夫婦に限るなど、不妊治療に関するルールを盛り込んだたたき台をまとめた。子への情報開示は提供者の同意があったときに限定するとされ、一律に保障されないことに当事者らから異論が出て調整が続いていた。
 修正案では、精子や卵子の提供時に氏名や住所、マイナンバーなどの情報を収集し、独立行政法人で100年間保管。子が成人後に希望する場合、身長や血液型、年齢は開示する。氏名などの個人の特定につながる情報は、提供者の意向に応じる。提供者が死亡した場合は提供時の意向に従う。
 提供を受けられる対象を事実婚や同性カップルに広げるかどうかも論点になっていたが、法律上の夫婦に限定する。

 出自を知る権利 第三者提供の精子や卵子を使って生まれた子どもや、病院以外に身元を明かさず出産する「内密出産」で生まれた子どもが遺伝上の親の情報を知る権利。遺伝上の親が分からないとアイデンティティー喪失に苦しむほか、遺伝性疾患への不安があるとする訴えが当事者を中心に広がり、権利の保障を求める声が強まっている。1994年に日本が批准した国連の子どもの権利条約では「できる限り父母を知る権利」が明記され、スウェーデンやオランダなど一部の国では法律で保障されている。

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