テーマ : 医療・健康

「薬価」1%引き下げを検討 診療報酬改定、賃上げで加算も

 厚生労働省は、医療機関の収入となる診療報酬の2024年度改定で、医薬品などの公定価格に相当する「薬価」を市場取引価格に近づくよう1・0%程度引き下げる方向で検討に入った。薬価を含む医療費に投入している国費1千億円程度を抑制できる見通し。看護補助者ら医療従事者の賃上げを実施した医療機関に対し、報酬を加算する仕組みの導入を検討していることも分かった。関係者が8日明らかにした。

厚生労働省が入る中央合同庁舎
厚生労働省が入る中央合同庁舎

 診療報酬は薬価部分と、医師や医療従事者らの人件費に当たる「本体」部分があり、月内の予算編成で改定率を決める。今後は本体部分の改定率が焦点となり、日本医師会は賃上げの実現に向けて増額を訴え、財務省は診療所のもうけが多いとして引き下げを主張している。
 22年度の改定では薬価を1・37%引き下げ、国費約1600億円を削減した。医薬品の市場取引価格は業者の競争による値下げで公定価格より安くなる。薬価は近年、取引価格に近づくよう引き下げが続いたのに対し、取引価格は医薬品の供給不足に伴って高止まりし、薬価の24年度改定は22年度より下げ幅が小さくなるとみられる。医療費の抑制が進まず財源捻出の効果が減少する。
 厚労省が調査した医薬品の取引価格(23年)などに基づき、薬価を1%程度引き下げた場合、医療費4千億円程度が抑制され、医療費の約4分の1に当たる国費1千億円程度が圧縮される見通し。
 賃上げの加算は、実績に応じて報酬を増やす仕組みを検討。給与水準が低い看護補助者が主な対象になる。厚労、財務両省が対象職種や加算金額を協議する。厚労省の審議会部会は8日、診療報酬改定の基本方針をまとめ、物価高騰や賃上げへの対応を盛り込んだ。

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