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少子化、学区自由化の波 名門も自助努力必要龍城【龍城 韮山高150周年 今昔ものがたり②学校編】

下校時にスクールバスに乗り込む生徒=伊豆の国市の韮山高
下校時にスクールバスに乗り込む生徒=伊豆の国市の韮山高

 志願倍率0・98倍―。
 2023年度の入学者選抜試験で、韮山高普通科は募集定員240人に対して志願者数が236人となり、倍率が1倍を下回る「定員割れ」となった。
 併願可能な理数科の志願者数が募集定員40人を大きく上回ったため、実際に入学した両科の生徒数は定員を確保した。だが、日本の社会が直面する少子化の影響は県内最古の名門校にも影を落とす。小川圭一校長は「普通科は充足しないのではないか、という雰囲気が昨冬からあった。教職員間に危機感はある」と口にする。
 県内公立高校の通学区域は撤廃され、小学部や中学部を併設して一貫教育に乗り出す私立高校も増えている。選択肢は広がり、特に三島市や駿東郡の小中学生は通学しやすい沼津地域の学校に進む傾向が顕著になった。決められた学区の中学生が自然の流れで「韮高」を目指す時代は終わり、特色や独自性を打ち出して生徒を積極的に呼び込む努力が欠かせない。
 東海道線沿いに位置しない韮山高は04年から、後援会とPTAの全面協力でJR函南駅と学校を結ぶスクールバスを導入した。伊豆半島東海岸や三島・函南地域の生徒に好評で、熱海市から通う岡田伽生さん(1年)は「伊豆箱根鉄道への乗り換えがないので便利」。伊東市の渡辺千智さん(1年)は「すべて電車だと通うのが大変そうだったが、バスを併用すれば通学時間は短くなる」と喜ぶ。賀茂地域の生徒も、下宿生活を送らずに自宅からの通学が可能になったという。
 学校生活では最大の特徴である進学指導に加え、国際交流と語学研修に力を入れる。コロナ禍で中断していた米航空宇宙局(NASA)やシリコンバレーに触れる理数科の米国修学旅行と、1~2年生対象の夏休み英国留学を23年度に再開する予定。タブレット端末を利用した英会話学習も広げる。小川校長は「高校生のころから海外に目を向けてほしい」と期待する。

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