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静岡県、静岡市葵区杉尾の盛り土撤去へ代執行 11月下旬に着手

 静岡市葵区杉尾の砂防指定地内で残土処分会社「富田建材」が無許可で造成した盛り土に関し、県は14日、県庁で開いた盛り土対策会議で、土砂撤去に向けた行政代執行を今月下旬に着手することを明らかにした。2021年7月の熱海市伊豆山の土石流以降、不適切盛り土を対象にした県の行政代執行は3件目になる。杉尾地区に隣接する日向地区にも同社が造成した巨大盛り土がある。県は日向地区でも行政代執行を実施する方針を固めていて、25年度末までに完了させたいとしている。
 県によると、杉尾地区の盛り土は約1・9ヘクタールの土地の東西に計約5・1万立方メートルが積まれている。代執行では、まず勾配が急な東側の盛り土を撤去する。今月下旬に測量などを開始し、24年1月から土砂を県中部の民間残土処分場に搬出する。西側の盛り土は勾配が比較的緩やかで、24~25年度に撤去する予定。ただ、一部の土砂から土壌汚染対策法の基準を超える鉛が検出され、撤去する場合は汚染土壌専用の最終処分場に運ぶ必要があるという。
 一方、日向地区の盛り土量は杉尾地区の7倍以上の37・5万立方メートルに上る。県は全量撤去せずに、切り土や盛り土で安定勾配を確保する方針。基本的に土砂は外部に搬出しないとしているが、一部からシアンやヒ素が検出されている。県は土壌汚染対策法の手続きが整い次第、富田建材に代執行の事前通告となる戒告書を交付する。代執行全体の費用は現時点で未定だが、県は全額を同社に請求する。
 杉尾地区の盛り土を巡り、県は9月、県砂防指定地管理条例に基づく原状回復命令に従わない同社に戒告書を交付した。同社は原状回復工事の計画書を提出したものの、応急的な内容に過ぎなかったため、県は不承認としていた。
 (政治部・豊竹喬)

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