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熱海土石流 担当者、カラー提出指示 判読不能の行政文書 川勝知事の説明と矛盾

 熱海市伊豆山で盛り土が崩落し28人が死亡した大規模土石流を巡り、静岡県のカラーの行政文書が白黒化され判読できなくなっていた問題で、県法務文書課(現法務課)の職員が2021年に開示文書を作成した際、文書を保管する関係各課にカラーでの文書提出を指示するメールを送っていたことが21日、複数の県関係者への取材で分かった。

県が開示した熱海土石流の行政文書の作業工程
県が開示した熱海土石流の行政文書の作業工程

 職員が対象の文書にカラーが含まれると認識していたことを示すやりとりで、「職員がカラーだと気付かなかっただけで、隠す意図はなかった」としてきた川勝平太知事の説明と矛盾する。県がカラーではなく白黒で文書を開示する方針をどのように決めたのか、経緯の解明が焦点になる。
 関係者によると、メールは土石流発生から約2カ月半後の21年9月21日付。法務文書課から、盛り土に関係する法令を所管する部署のうち砂防課を除く土地対策課、森林保全課、廃棄物リサイクル課、建築安全推進課に送られた。文面には「カラーの文書についてはカラーで納品をお願いします」と記されていた。
 関係各課に保管された文書の提出を求める内容で、業者名や県職員名などの非開示箇所をチェックするための作業の一環だった。
 県情報公開条例に基づく文書開示の際、原本がカラーの場合、白黒化すると判読できなくなる情報があるため、カラーで開示するのが通例。熱海土石流ではカラーの文書が約400ファイルあり、県が開示した文書全体の半数近くに当たる。川勝知事はこれまで、職員がカラーと気付かずに文書を白黒化しただけで、意図的ではなかったという説明を繰り返し、今月5日の記者会見でも「(カラーの文書だと)気が付かないでやった場合もあるでしょう」と述べていた。
 情報公開の専門家は県の対応について「判読できなければ開示されていないのと同じなので、隠蔽(いんぺい)と言われても仕方ない」と指摘している。
 (社会部・大橋弘典)
静岡県による熱海土石流の行政文書の不適切開示問題 土石流の原因とされる盛り土やその付近の開発行為への職員の対応を記録したカラー文書が全て白黒化され、一部は写真などが判読できない状態で開示・公表されていた。法務文書課の職員2人が複写機の通常設定を「白黒・文字モード」(白黒で濃くなる設定)に変えて文書を電子化したためだと県は説明している。土石流の起点で2003年に土砂崩れが発生していたことなど乱開発の経緯が読み取れず、検証作業や訴訟に影響を与えている。

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