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熱海土石流 静岡県、開発行為の文書提出 地裁沼津支部に 黒塗り一部解除

 熱海市伊豆山の大規模土石流を巡り遺族や被災者が土石流起点の土地の現旧所有者や静岡県、市に損害賠償を求めた訴訟の弁論準備手続きが20日、静岡地裁沼津支部であった。協議は非公開。関係者の話を総合すると、原告側が2003年前後の起点部分の開発行為に関する行政文書の提出を県に改めて要請し、県は協議後、ホームページ(HP)に掲載済みの文書の黒塗り部分を一部解除して同支部に提出した。原告側はHP掲載分以外の文書の提出も県に求めている。
 県が提出したのは、逢初(あいぞめ)川源頭部の無許可開発区域や03年に発生した土砂崩れ、業者が倒木を谷に集めたとされる写真などを掲載した文書。
 これらの文書は県職員が複写機で白黒・高濃度に電子化し、写真などが判読できない状態でHPに公表していたため、本紙の報道を受けて県がカラーの文書に差し替えるまで、原告側が当時の状況を把握できなかった経緯がある。
 同支部は「逢初川源頭部の盛り土工事の経緯等を明らかにするために必要な文書」の提出を県に求めていて、遺族や被災者には依然として該当文書の提出が不十分とする見方がある。
 原告代理人の加藤博太郎弁護士は協議後の取材に対し「あの現場で何が起きたかを究明することが被告らの過失の追及になる」と述べ、盛り土部分だけでなく付近の開発行為も訴訟の対象に含める考えを示した。県経営管理部の天野朗彦参事は「県は全ての公文書を21年10月にマスキング(業者名などを黒塗り)してオープンにしてある」と話した。

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