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記者コラム「清流」 色あせない教訓

 死者・行方不明者が10万5000人余りとなった関東大震災から100年。県内でも建物倒壊や津波で443人が犠牲となった。現在の富士宮市に暮らしていた河井清方が残した日記に、朝鮮人が襲来するなどの流言が県内でも広がった様子が記されている。混乱や不安に陥る市井の人々の様子が生々しい。
 9月上旬のモロッコ地震の後、南海トラフ地震と結び付ける投稿がSNS上に飛び交った。リビアの洪水では、熱海市伊豆山の土石流の映像が、現地の被害として拡散された。
 災害後は誤情報やデマが流れやすい。特にSNSでは瞬時に広がる。「流言を放つの罪軽からず」。信じるのも愚かだと河井は言う。その冷静な視点は、現代にも通じる戒めだ。正確な情報を発信する報道の役割も同時に問われている。
(社会部・中川琳)

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