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次こそ賜杯! 諦めない熱海富士の相撲「勇気もらった」 祖母、下宿先、母校から健闘たたえる声

 大相撲九州場所(福岡県)で優勝争いを繰り広げた熱海市出身の熱海富士(本名・武井朔太郎)。26日、2場所連続で幕内初優勝にあと一歩届かなかったものの、出身地や母校の関係者から健闘をたたえる声が送られた。
 出身地の熱海市では、地元後援会(会長・内田進熱海商工会議所会頭)の会員と市民ら約120人が中継を観戦した。敗戦に落胆の声が広がったが、最後は熱海富士コールでねぎらった。
地元熱海の後援会、120人観戦
優勝争いを演じた熱海富士が敗れ、悲鳴を上げて落胆する観戦者=26日午後、熱海市内
 熱海富士の祖母武井みさ子さん(73)=千葉県白井市=は友人と熱海を観光中にパブリックビューイング(PV)会場を訪れた。小学2年の時まで千葉で暮らしていた熱海富士。武井さんは孫の頑張りに目に涙を浮かべながら、「優しい子で、今場所もあの笑顔に元気と勇気をもらった。目標は横綱。いつかなると思っている」と感謝した。
 後援会副会長で耳鼻科医の渡辺修一さん(65)は、幼い頃の熱海富士を診療した顔なじみの1人。県勢初となる賜杯力士の称号は逃したが、「21歳のまだまだ若い力士。いろんな経験を糧にすれば、もっと強くなる。来場所も熱海を盛り上げてほしい」と激励した。
下宿先の食堂「めし しんちゃん」から「さく」コール
 熱海富士が飛龍高時代に下宿した三島市の食堂「めし しんちゃん」には、小中学生時代に所属していた三島相撲クラブの関係者ら約30人が集い、中継に熱視線を注いだ。千秋楽まで優勝争いを続けた雄姿に、「夢を与えてくれた。来場所も優勝に絡む活躍を」と、期待は一段と高まった。
熱海富士に声援を送る杉山信二会長(手前右)と美香さん(同左)=26日午後5時20分ごろ、三島市の「めし しんちゃん」
 取り組み直前には、本名にちなんだ愛称の「さく」コールが響き、店内が沸いた。店主で同クラブの杉山信二会長(60)は入院中の病院から外出許可を得て、仲間とともに大一番を観戦。教え子の奮闘に、「俺も頑張らないといけない」と勇気づけられた様子で語った。
 優勝こそ逃したが、杉山さんは「ここでバイトして『いらっしゃいませ』と言っていたのが不思議。負けても勝ちに等しい。まだ先がある」と今後の活躍を願った。妻の美香さん(56)は三役そろい踏みに登場した姿を見つめ、「息子のような存在。来場所への楽しみをもらった」と話した。
 同クラブに通う沼津市立金岡小3年の宮代智尋君(9)は「諦めない相撲がかっこいい。熱海富士のようになれるよう頑張りたい」と目を輝かせた。
母校の飛龍高校(沼津市)では相撲部後輩らがエール
 熱海富士の母校、沼津市の飛龍高で開かれた校内のPVには相撲部の後輩ら約50人が集まった。
熱海富士が下された瞬間、うなだれる後輩ら=沼津市の飛龍高
 関脇琴ノ若との大一番の直前、会場のボルテージは一気に高まり、「熱海富士!熱海富士!」のエールが響き渡った。だが、引き落としで敗れると、来場者は一様に肩を落とした。
 同じ伊勢ケ浜部屋への入門が決まっている同部3年鈴木塁智さん(18)は「自分の相撲を取れていないようだった。悔しいと思う」と気遣う一方、「先輩の背中を追い、自分も優勝を狙えるように頑張りたい」と意気込んだ。井伊あおい顧問(57)は、同校出身で幕下優勝した聖[さとる]富士にも触れ、「2人とも土俵際の粘り強さがある」と強調。熱海富士については「急成長している。謙虚な姿勢を大切に、人から愛される力士になって」と目を細めた。

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