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盛り土衛星監視 県全域に 県、24年度予算案計上 富士山麓で成果

 静岡県は2024年度、富士山麓で試験的に実施していた人工衛星を活用した不適切盛り土の監視の対象を県内全域に広げる方針を固めた。山間部を中心に、不適切な盛り土造成の“予兆”をいち早く把握し、市町と連携して違法行為の未然防止を図る。24年度当初予算案に関連費用として2千万円超を計上する。31日までの関係者への取材で分かった。

 人工衛星を活用した不適切盛り土の監視は、21年7月に熱海市伊豆山で発生した大規模土石流を教訓にした対策の一つ。県は23年度、富士山麓の約900平方キロメートルを対象に、最新の衛星画像と過去の画像を人工知能(AI)で比較。その結果、公道が通っていないような山間部の奥地で、森林伐採などの土地改変が複数見つかったという。
 熱海市伊豆山の大規模土石流の起点周辺では、無許可で伐採された場所の近くに大量の土砂が投棄された。こうした経緯を踏まえ、県は衛星画像を基に得た情報を当該市町と共有し、土地改変の許可申請が適切に行われているかどうかを確認するとともに、不適切盛り土の温床にならないよう監視を続けている。
 県内には県東部を中心に、23年11月末時点で160カ所の不適切盛り土が確認されている。ほとんどは行政のパトロールや住民からの通報などで発覚した。県は人の目が届きにくい山間部の監視を県全域で強化し、パトロールの効率化や違法行為への迅速な是正指導を図る。
 (政治部・豊竹喬)

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