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尊富士110年ぶりV 「けが忘れ土俵に」 偉業から一夜-大相撲

 大相撲春場所で右足首のけがを押して出場し、110年ぶりとなる新入幕優勝を果たした尊富士が千秋楽から一夜明けた25日、大阪市東成区で記者会見に臨み「自分の手で優勝をつかみたかった。けがを忘れて土俵に上がっていた」と喜びをかみしめた。

大相撲春場所千秋楽から一夜明け、記者会見で笑顔を見せる尊富士=大阪市東成区
大相撲春場所千秋楽から一夜明け、記者会見で笑顔を見せる尊富士=大阪市東成区

 豪ノ山を押し倒した千秋楽と同じように、この日も右足首をテーピングで固定。負傷した14日目(23日)の朝乃山戦後は病院に搬送された。靱帯(じんたい)損傷の診断を受け、医師に松葉づえの使用を勧められたことを明かした。
 一度は休場を決意したが、兄弟子の横綱照ノ富士がけがと向き合ってきた経験談を話してくれた。憧れの存在から「負けてもいいから出ることが大事だ」と激励されて「急にスイッチが入り、少し歩けるようになった」という。土俵に上がる覚悟を決め、記録ずくめの快挙を成し遂げた。
 優勝した夜は照ノ富士から何度も頭をなでられ「横綱に少しでも恩返しができたかな」と満足顔。全治などは明らかにしなかったが「今年中には三役になりたい。また強くなって土俵に上がる」と一層の飛躍を期した。

 笑顔で余韻浸る 「本当に優勝したんだな」  110年ぶりの新入幕優勝を果たした尊富士は笑顔を見せながら快挙の余韻に浸った。
 -一夜明けて。
 「数時間しか寝ていないけど、場所中よりよく寝られた。いろいろな人から連絡が来るたびに、本当に優勝したんだなと思った」
 -けがを押して出場。
 「自分で出ると言った以上、土俵で恥ずかしい姿は見せられない。気合で出た。相撲はあまり覚えていない」
 -三賞も総なめ。
 「まさかここまでできるとは。夢のまた夢だった」
 -地元青森も歓喜。
 「14日目に応援してくれている映像を見て、不安なのは僕じゃない、周りの人だと思った。休むことは選択できなかった。県民に優勝を報告できてうれしい」
 -優勝パレードで見た景色は。
 「(先場所の照ノ富士の優勝パレードで)旗手をしているときの続きを見たような。一つのドラマを見ているかのような感じだった」
 -来場所以降へ。
 「これからが大事。チャンスは相撲をやっている中で必ず何回もくる。それを逃さないように頑張ってやっていく」

熱海、翠富の稽古が結実  尊富士は関取6人を擁する伊勢ケ浜部屋での鍛錬が実を結んだ。稽古場では横綱照ノ富士に胸を借り、有望株の熱海富士(熱海市出身)や小兵の翠富士(焼津市出身)ら多くの幕内力士と番数を重ねてきた。「堂々とできたのは、部屋の稽古が生きているから。伊勢ケ浜部屋のみんなで勝ち取った優勝」と感謝した。
 千秋楽の夜、普段は厳しい師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)から「頑張って良かったな」とねぎらわれたという。尊富士は「師匠の顔に泥を塗らなくて良かった」とほっとした表情だった。

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