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23年度芸術選奨 井上雄彦さん大臣賞 23人と1組 佐藤浩市さんも

 文化庁は28日、2023年度芸術選奨の文部科学大臣賞を、アニメ映画「THE FIRST SLAM DUNK」を監督として手がけた漫画家の井上雄彦さん(57)や、俳優の佐藤浩市さん(63)ら23人と1組に贈ると発表した。新人賞はNHK連続テレビ小説「らんまん」の脚本家長田育恵さん(46)ら23人を選んだ。

井上雄彦さん
井上雄彦さん
長田育恵さん
長田育恵さん
マイク・モラスキーさん
マイク・モラスキーさん
井上雄彦さん
長田育恵さん
マイク・モラスキーさん

 井上さんは映画の原作漫画「スラムダンク」の作者。映画では、これまで映像化されていなかったクライマックスを描き、国内外で大ヒットした。佐藤さんは「春に散る」「愛にイナズマ」などの映画に出演し「年齢を重ねるごとに奥行きと深みを増している」と評価された。
 大臣賞には歌舞伎俳優の片岡愛之助さん(51)や映画監督の岩井俊二さん(61)、歌手の藤井フミヤさん(61)、「それは誠」が芥川賞候補となった小説家の乗代雄介さん(37)も選出された。新人賞は謎かけで人気の漫談家ねづっちさん(49)も受賞する。
 芸術分野の優れた業績を表彰する芸術選奨は74回目。文化庁は芸術祭賞や映画賞など同庁の顕彰制度を整理し、今回から芸術選奨に集約した。
 受賞者は舞踊や美術なども含む12部門で選ばれ、各部門1人だった新人賞は、若手育成の後押しのため2人にした。賞金も大臣賞は30万円から120万円に、新人賞は20万円から80万円に増やした。贈呈式は3月12日に東京都内で行う。
 芸術選奨の受賞者は次の通り。(敬称略)
 【大臣賞】片岡愛之助(歌舞伎俳優)▽山西惇(俳優)▽岩井俊二(映画監督)▽佐藤浩市(俳優)▽杉山洋一(指揮者)▽福原徹(邦楽囃子笛方)▽鈴木稔(振付家)▽吉村古ゆう(日本舞踊家)▽柴崎友香(小説家)▽乗代雄介(小説家)▽蔡国強(現代美術家)▽須藤玲子(テキスタイルデザイナー)▽石川真生(写真家)▽宮本佳明(建築家)▽井上雄彦(漫画家)▽田村由美(漫画家)▽野木亜紀子(脚本家)▽山崎裕侍(プロデューサー)▽宝井琴調(講談師)▽藤井フミヤ(歌手)▽荒井洋文(舞台芸術プロデューサー)▽ルシール・レイボズ、仲西祐介(KYOTOGRAPHIE京都国際写真祭共同代表)▽鈴木聖子(大阪大大学院助教)▽マイク・モラスキー(早稲田大教授)
 【新人賞】生田みゆき(演出家)▽中村勘九郎(歌舞伎俳優)▽池松壮亮(俳優)▽鶴岡慧子(映画監督)▽大西宇宙(声楽家)▽菊央雄司(地歌箏曲演奏家)▽秋山瑛(バレエダンサー)▽速水渉悟(バレエダンサー)▽高瀬隼子(小説家)▽安藤正子(画家)▽大巻伸嗣(美術作家)▽梅田哲也(アーティスト)▽西澤徹夫(建築家)▽加藤隆生(SCRAP社長)▽和田淳(アニメーション作家)▽石原大史(ディレクター)▽長田育恵(脚本家)▽桂小すみ(音曲師)▽ねづっち(漫談家)▽今西善也(ZENBI-鍵善良房-KAGIZEN ART MUSEUM館長)▽川崎陽子(KYOTO EXPERIMENT共同ディレクター)▽原瑠璃彦(静岡大専任講師)▽堀朋平(音楽学者)

 静岡県内在住の受賞者喜び
 「青天のへきれき」 マイク・モラスキーさん
 県内在住のマイク・モラスキーさん(67)は、2023年に発行した著書「ジャズピアノ―その歴史から聴き方まで」(上下巻)が評価された。19世紀から現代にかけて発展したジャズピアノの歴史文化を掘り下げた上で、「聴き方のポイントをまとめた。読者の耳が肥えるように工夫して書いた」と狙いを語った。
 米国ミズーリ州セントルイス出身。1970年代に初来日して以来、日本の文化や風習に引かれ、伊豆半島の海が見える場所に生活拠点を構えた。早大教授として専門の戦後文学やジャズの歴史文化を後進に伝えている。日本語も堪能で、今回の受賞について「青天のへきれき。予想だにせず、大変うれしい」と声を弾ませた。

 「高い評価励みに」 原瑠璃彦さん
 静岡大地域創造学環・人文社会科学部講師の原瑠璃彦さん(35)=熱海市=は、海辺の風景「洲浜(すはま)」を軸に平安時代以降の日本の文化史を論じた「洲浜論」(2023年5月刊)の成果を認められた。
 身近に海がない京都市で育ち、かねて同市の和歌や庭園が描く「つくられた海のイメージ」に関心があった。「洲浜論」は東京大の卒業論文を起点に10年超の研究をまとめた。「ニッチなテーマだが、調べるうちに絵画や能楽との関わりも見えてきた」と振り返る。
 代表的な洲浜と言える「三保松原」がある静岡で教えることに縁を感じている。「高い評価を励みにして、より深いものを書かなくては」と意欲を示す。

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