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大自在(1月19日)相撲の神様

 かつて「相撲の神様」と呼ばれた力士がいた。大正から昭和にかけて活躍した大ノ里である。身長164センチ。体重も100キロに満たない小兵だったが、大関を7年間務めた。
 誠実な性格で稽古熱心。若手への指導などでも人望があったことが「神様」のゆえんだとされるが、技術にも秀でていた。足腰が強く、正攻法のはず押しを武器とし、前さばきが巧みだった。1989年発行の「古今大相撲力士事典」(国書刊行会)には、「突き、はたき、ひねり、すくい投げ、足癖は入神の技[ぎ]」とある。
 100年ほど前に角界をにぎわせた名大関と同じ読みのしこ名を持つのが、初場所西前頭15枚目の大の里。2年連続アマチュア横綱の実績を引っ提げ、昨年夏場所デビュー。所要4場所で新入幕を果たした。
 192センチ、183キロの恵まれた体は、「神様」と大きく違うところ。体格を生かした押し相撲が得意なのだが、組んでも強い器用さがあるところは共通しているともいえよう。飛躍が期待される2000年生まれの年男。大ノ里も1892年生まれで同じ辰[たつ]年だ。
 石川県津幡町出身。能登半島地震では実家が停電や断水の被害を受けた。「明るい話題を届けたい。自分が頑張っている姿を見せることが一番」と被災地の思いを背負い、土俵に上がる。初場所は、きのうの5日目まで4勝と好調。
 熱海富士(熱海市出身)や翠富士(焼津市出身)とは、まだ対戦がない。今後、好勝負を繰り広げるだろうかと想像するだけで胸は高鳴る。切磋琢磨[せっさたくま]して令和の角界を引っ張っていってほしい。

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