テーマ : 熱海市

記者コラム「清流」 宿題投げ出した子?

 熱海市伊豆山の大規模土石流と被災地のことを、川勝平太知事は忘れていたのだろうか。辞職の意向を正式に表明した3日の記者会見。復旧復興や責任追及をはじめ、数多くの課題を抱える熱海土石流について、何一つ言及がなかった。
 28人の犠牲者を出した県史に残る大惨事。発生から2年9カ月が経過した今もなお、遺族の心の傷は癒えず、避難生活を送る被災者がいる。知事は辞職届を提出後の会見でも、行政対応の反省点に触れる程度だった。物足りなさを感じた。
 リニア問題に区切りが付いたことを辞職理由に挙げたが、こちらも課題山積で議論の最中だ。ましてや任期途中の退陣では、職責の放棄とみなされても仕方がない。学者で博識があるといわれる知事には大変申し訳ないが、宿題を投げ出した子どものように見えた。
(熱海支局・鈴木文之)

いい茶0

熱海市の記事一覧

他の追っかけを読む
地域再生大賞